第9話 ページ11
貴方サイド
『タイガーさん…』
「まだ、夜じゃないだろう、どうした?」
父と護衛がいなくなったのを見計らって、私はタイガーさんのいる牢に行った。
『私もうダメです……天竜人なんて大嫌いです。私は…生まれたくなかった…』
「お前…」
『私は誰も傷つけたくない…ただ、普通にいぎだい…』
「おい、あまり大きい声で泣くと……」
『タイガーさん、助けて……っ…』
「………!」
そう言って私は我に帰った。
『ご、ごめんなさい…こんなこと!タイガーさんに言ってもどうにもならないのに…』
つい勢いで言ってしまった。
タイガーさんを困らせるだけなのに。
「実は……俺は近々ここを出るつもりなんだ」
『ここを出るって…?』
「ここから脱出する。そのために準備をしてきた」
そっか……タイガーさん、いなくなっちゃうのか…。
タイガーさんが自由になれるのは嬉しいけど、寂しいな。
「そんな顔をするな。俺は必ず戻ってくる」
『戻ってくる……?』
こんな地獄にどうして…。
「同胞も何人も捕まっている。俺はそれを放ってはおけない」
『もしかして…どれいになってる人たちを解放するつもりですか?』
「ああ、そうだ。その時お前も救いにくる。ここから逃げるんだ、一緒に」
『え……?』
聞き間違えたのではないかと思い、聞き返してしまった。
「ここを出て自由になるんだ」
『じ、ゆう……?私が…?』
「そうだ、自由だ。自分の好きなことをしていい、どこへ行ってもいい。お前のやりたいことをやるんだ」
私のやりたいこと?
『例えば魚人島に行ったり、白ひげさんに会ったり?……そういうことをしていいんですか。誰も傷つけなくていいんですか?』
「ああ…お前がそうしたいならそうすればいい」
『……タイガーさん…っ…約束ですよ…』
「ああ…約束だ」
この日タイガーさんと私は小指を結んだ。
生まれて初めて、人の暖かさに触れた気がした。
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作者名:いろぺん | 作成日時:2019年3月10日 11時