百個世行【切島鋭児郎】 (ページ5)

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卵が5個ページ5

実技の会場にはさっきの眼鏡くんはいなくて、やたらと目つきの悪い、金髪紛いの不良が目立っていた。

プレ「はい、スタート！」

開始の声と同時に、ジャンプしてターゲットの位置を確認する。こうしてジャンプするだけで、建物の最上階程までにぶち上がれるのは黄昏種の特権だろうな。

個性じゃなきゃ、健常者(ノーマル)にはまず無理だ。

後ろでは多くの受験者はポケーっと突っ立っている。

プレ「おいおいどうした！？賽は投げられてんぞー！！！！」

そこで、ハッと気付いたのか皆走り出す。

だが、もう遅い。

マフィアとかの抗争なんてものに、スタートはない。敵が送り込まれてきたら、交渉が決裂したら、全て予測不可能。唐突にそれは始まる。

跳んだ時の情報を元にターゲットに向かってどんどん倒していく。あまり本気を出すと受験者に申し訳ないからたくさんは殺れないな。

10分程経って、一際目立つデカイ仮想ヴィランが現れた。

周りに特に人はいなかった(というか逃げていく)ので迷わず突っ走った。

これは余談だが、あとから聞いた話によるとヤツは0Pだったようだ。

そのデカイ仮想ヴィランに、私は思いっ切り息を吸い口を膨らませて、『フゥゥゥウウウウ』と息を吹きかける。

つまり、私の個性【ASH(アッシュ)《灰燼(かいじん)》】発動！

「な、何だあれ！！崩れてる！！！」

「チートかよ…」

なんて声が離れた所から聞こえた。

個人的には体から電気出たり、ボンボン跳ねれたり、そっちの方が羨ましい。
電気代タダはでかい！！

あと、チートなんかじゃあない。

この個性のおかげで、毎日喉が潤うことはない。寧ろカスッカスにする必要がある。

仮想ヴィランが灰になったところで、プレゼント・マイクが試験は終了の合図を告げた。

『Clear.』《任務完了》

これはいつものクセ。言葉に発することで終わった事実をしっかり受け止める。ここでやっと緊張がとれる。

あとは制服などを気長に待つだけ。