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2話 ページ2
「蛇柱、様」
「戦えないのなら、他の奴等の手当てをしろ。ここにいてもすぐ殺られるだけだ」
「…っ、戦います!!皆さんを守って、せめて役に立ってから…」
駆け出しかけた時。私の腕は強く後ろに引っ張られた。振り向くと、蛇柱様は私を睨み続けている。その瞳は、涙に薄く濡れていた。
彼の泣いてる所なんて、一度も見た事がなかった。…いや、影で誰にも見られぬよう、独りで泣いていたのかもしれない。
「頼む、もう誰も死なせたくないんだ…」
そう言われて、気付いた。
自分の死は、自分だけの問題じゃない。誰かに迷惑を掛け、悲しませるものなんだ。
小さく頷くと、建物の影の方へ背中を押される。あそこで救護しているのだろう。手が離れると同時に、急に不安が込み上げてきた。
それを誤魔化す様に、声を上げ振り向いた。
「蛇柱様!絶対…生きて帰ってきて下さい!!」
「…あぁ。」
振り向かず、前だけを見るその背中は、惨状と化した場へ走っていった。
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作者名:紅葉 | 作成日時:2021年1月9日 17時