非日常を味合わせてくれるのは1つの毒林檎 wtnb ページ10
非日常、それは日常では体験出来ない様な物
QuizKnockで働いていれば起きなくは無いもの、
でもそんな刺激が堪らないくらいに欲しくて
夜の街へと連日繰り出して行った。
…………
「はぁ、次はいつ来られるか分かんない」
「えぇ、何で？」
「イベントに向けて今忙しいんだよね。」
「そっかー蘭珠も大変なんだな」
「働いてる会社が会社だから」
「辞めちゃえば良いのに、」
「でもあれ以上のホワイトな所無いから笑」
「なるほどな笑」
「ん、じゃぁまた来れる時連絡するから」
「気を付けろよ、じゃぁな」
「じゃぁね」
男に笑顔と手を振り前を向く。
ホワイトドレスに髪を緩く巻き、メイクも変えていつも私は歩く。
ここでは私の事を『有名人』では無くただの『一般人』として扱ってくれる。
どこで働いてるの？って聞かれたら素直に答える。名前も学歴も全て素直に、
でも皆私の事を黄色い目で見たり歓声は来ない。
それが私にとっての唯一の救いの場所だった。
「はぁ、家帰るのも面倒臭い。」
そんな事を思いつつ歩く。
少し下を向きながら歩いていた為、軽く人とぶつかってしまった。
この街にはヤクザ系の人も居る為下手に何かをすると大変な事になる。
そんな事を学習済みだった私は
高い声と
今にも泣きそうな顔と
か弱そうな女を演じ…
「ゴメンなさいっ！お怪我無いですか？」
精一杯の甘ったるい声を出した。
でも返ってきた声は
「……蘭珠？」
聞き馴染みのある声だった。
「……なぁんだこうちゃんか」
私は演じている物を全てとっぱらった。
目の前には驚いているこうちゃんが居た。
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作者名：もも | 作成日時：2022年8月9日 23時
