【QK】現の恋に溺れたくて「短編集」 (ページ26)

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幼時代 fkr ページ26

綺麗な夕焼けだった、

俺はただ呆然と見ていた。

帰り道に見つけた穴場

夕焼けが煩い都市の住宅街に映えて綺麗に映っていた。

そんな夕日が、

ある「1つ」の思い出を

思い出させてくれた。

………………………………
「ねぇ、けん君」
『どうしたの？』
「私ねもう会えなくなっちゃうんだ」
『どうして？』
「お引越しするから、だからねこれあげる。」

そう言って彼女がくれたのは、

ピンク色の貝殻

綺麗な貝殻だった

桜貝？みたいに綺麗な貝殻

数日前に必死に2人で探していた。

結局ひとつしか見つからずあげたものだった。

『いいの？』
「うん、もう会えないかもしれないし」
『そっか、』
「じゃぁね、けん君」
『うん……ばいばい、』

…………………………
ふと、そんな思い出が蘇った。

昔の頃の思い出、

顔も名前も覚えてなくただそのワンシーンだけが記憶から蘇った。

何も覚えてないけれど、

きっと

「大切な存在」だったのかもしれない

俺は気付けば涙を流していて

服を濡らしていた。

肌寒くなるくらいに時間は経ち

夕日もいつの間にかなくなり気付けば満天の星空。

俺は帰路を急ぐ事にした。

帰っている途中も

その子の事が気になって仕方が無かったけど、

確かめる方法なんでひとつも思い浮かばなかった。