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ジェイコブの部屋の中 ページ16

「あ、ありがとう……えぇっと、貴方は……」

『A・Aです』






一応口の動きでそう伝えるが、ティナは怪訝そうに首をかしげる。



「あぁ、彼女……A・Aって言うんだけど、今ちょっと声が出ないんだ」



困った顔をした私を見てだろうか、ニュートが助け舟を出してくれた。
それにありがとうと笑顔を向けた私とは対照的に、ティナはさらに眉を寄せニュートを睨む。



「……もしかして、それも貴方が原因?」



私を背に庇うようにしてニュートに向けられた言葉に驚いたが、ティナの優しさに嬉しくなる。

違うよ!と焦って手を振りながら否定するニュートをなおも訝しげに見ていたティナだが、私も首を横に振って否定すれば納得してくれたらしく、改めてかばったお礼を言われた。
その間に、ニュートは捕まえていたマートラップをトランクへ返すと、素早く鍵を閉めている。





「っと、そうだった……大丈夫?ミスター……」



















その後、マートラップに噛まれたジェイコブの看病のためティナの家へ向かう皆に、私もついて行けることになった。
ここで別行動になったりしたら頑張ってジェイコブの家まで付いてきたことが無駄になり途方にくれることになったので、私は心底安心した。

ティナ曰く。


「彼女も立派な証人よ」


ということらしい。
それに加え、ニュートが適当にでっち上げた「Aは記憶を失った迷子で、なぜか声も出なくなり、今日の宿もない」という怪しさ満点の話に同情されたというのもある。


(いやそれにしてもあやしすぎるでしょ、私)


顔立ちからして思いっきり東洋人の私を、出会ってすぐ自分たちの家に招いてくれるなんて良い人過ぎる。
それをいうなら、ニュートとジェイコブを招く時点でどうかという話でもあるのだが。















「さて、じゃぁ行きましょ」


そう言ってニュートと二人でジェイコブを抱えて歩き出そうとしたティナに、私は慌てて手を貸そうと近寄った。
その腕でも何でも一緒に持とうとした時、私だけに聞こえる声で

「貴方が悪い人じゃないってことぐらい分かるわ。 だから安心して」

と言われた時は、その優しさに涙が出そうになった。

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まいまい(プロフ) - めっちゃ好きです♡更新楽しみにしています! (2022年5月10日 20時) (レス) id: 2c18e857c2 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - マルコさん» ありがとうございます (2022年4月30日 8時) (レス) id: 43c62374c1 (このIDを非表示/違反報告)
マルコ(プロフ) - ムスメ3さん» 質問ありがとうございます!この話の主人公は日本人設定なので、カタカナの日本名で設定されるのが1番物語の雰囲気に合うと思います。 (2022年4月30日 2時) (レス) id: af53a8795c (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - 苗字は漢字の方がいいですか? (2022年4月29日 10時) (レス) id: 43c62374c1 (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして!!ファンタビのお話書いてくれて凄く嬉しいです!!ニュートめっちゃ格好いいですよね!!続き楽しみにしてます!! (2022年4月16日 18時) (レス) @page3 id: f9b4a84be1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マルコ | 作成日時:2017年3月21日 0時

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