prologue ページ1
江戸 吉原
「朔夜！…朔夜っ！」
「あの侍は死んだ。お前はここから一生出られねぇよ」
「いやっ！朔夜様！！」
私の愛しい人は殺されてしまった
もう生きる意味なんてない
彼と初めて出逢った場所
この大きな桜の木の下
「朔夜様…」
「もう、良いかしら？楽になっても」
「もうこれ以上汚したくない、貴方だけのモノになりたいの。
それに貴方をいつまでもひとりぼっちにできないわ。」
私は桜の木に手を差し伸べて囁くように喋る。
そして忍ばせておいた短刀を握りしめ上に向ける
「…ようやく貴方に身も心も捧げる事ができる。
朔夜様、愛しております。
……さよなら」
そして私は泣きながら胸に切っ先を狙い定め、思い切り突き刺した。
ｶﾊｯ
そして後ろに倒れ仰向けになった。
目を開けると桜の花びらがひらひらとおちていきとても美しい。
私は朧げな夢を思い浮かべながら永く覚めない眠りに堕ちていった。
きっと…いつか……
廻り逢える事を信じて
ーーーーー
ピピピッ！ピピピッ！
スマホのアラームが部屋に響き渡る
「…んー、もう！うるさい！！」
私はスマホのボタンを押してアラームを止めて二度寝をしようとしたその時、
「たーいしょ？なに寝ようとしてんだ？？」
この声は…
「…」
「寝たふりしてねぇで早く起きろ大将！学校に遅刻するぞ！！」
「んー、薬研。後五分！」
「ダメだ！」
そう。私を起こそうとしているのは初鍛刀であり近待の薬研藤四郎。
「やだ！」
私は布団にくるまる
真剣必殺！みのむし！！
「起きねーなら無理にでも連れてくしかねぇか」
薬研は私を布団から引っ張り出すと抱き抱えて寝間着のまま広間に連れていかれた
「やーめーてー布団に返して！」
「だめだ！」
「ケチ！」
「ほら、席に付いたから座れ」
ゆっくりと私を座布団の上に下ろしてくれた
でも眠気が取れない
左右にくねくねしていると伽羅ちゃんが隣に座ってきた
「…肩なら貸してやる」
「伽羅ちゃーん。」
私は伽羅ちゃんの膝に座って寄りかかった
これが毎日の日課だ
そのままご飯を食べるときもあるが歌仙に怒られるので今日はやめておこう
私は伽羅ちゃんの膝から下りて先程の席に戻った
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作者名：＊ビターチェリー＊ | 作成日時：2019年6月24日 14時
