親子の時間�� ページ17
寒かった。
傷口は熱いのに、ほかはひどく寒かった。
でも、次第に温かくなっていく。
まるでぬるま湯に浸かっているような感覚がした。
『············ここは、どこ······？』
気がつくと俺はなんと表現したらいいかわからない、不思議な空間に立っていた。
ある方向は真っ暗で光のない道。
それとは逆の方向は白い光が照らす道。
俺は丁度その真ん中に立っている。
『たしか俺······ルナちゃんを庇って······』
正直、死んだのかわからない。
でも体貫かれて生きてるとは思えなかった。
もしかしたら、ここは死後の世界なのかもしれない。
『やってしまった······』
ルナちゃんを庇ったことにはまったく後悔がない。
あのままルナちゃんを死なせた方が確実に後悔する。
でも、当然心残りはある。
皆や殺せんせーのこと。
優希のこと。
お義父さんやシュウくんのこと。
それに、カルマのこと······
『······とりあえず、歩いてみよう』
じっとしているのは性に合わない。
俺は気合いを入れ、まず光が照らす道へ1歩踏み出す······時だった。
「A」
『っ！？』
踏み出そうとした足が止まった。
聞こえたのは、低いけど温かみのある声。
「A」
次に聞こえたのは、透明感のある優しい声。
知っている。
忘れるはずがない。
『······ん、で······』
何度も思った。
その声を聞きたいって······
その声で、もう1度名前を呼ばれたいって······
でも、それは決して叶わないこと。
どうして······
『パパ······？ ママ······？』
目の前に現れたのは、紛れもなく死んだはずの両親。
2人は両手を広げた。
「「A」」
『······！！』
次の瞬間、俺は2人の元へ飛び込んだ。
『パパッ！！ ママッ！！』
2人は俺を受け止め、力一杯抱き締めた。
どういう原理なんてわからない。
これが俺の都合の良い夢なのか、あるいは死後の世界だから会えたのか······
それでも······
『会い、たかった······！ ずっと、ずっと······！！』
会えたことに代わりはない。
俺は2人の胸で涙を流した。
「大きくなったわね」
『うん』
「ママに似て可愛くなったな」
『うん』
「ちゃんと見ていたわ。今、頑張っているのね」
『うん』
「ごめんな。僕たちがいなくなったせいで、寂しい思いをさせて」
『ううん······』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 201人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
羽衣瑠璃(プロフ) - 雫さん» 澪さん、コメントありがとうございます。完結まで頑張ります！ (4月9日 22時) (
レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - この作品好きすぎます😭✨ 主様のペースで完結まで頑張ってください！応援してます🔥 (4月9日 20時) (レス) @page23 id: e3d32f191f (このIDを非表示/違反報告)
羽衣瑠璃(プロフ) - 明日葉さん» 明日葉さん、コメントありがとうございます。これからも時間を見つけて更新していきます！ (4月7日 22時) (レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
明日葉(プロフ) - 更新頑張ってください 応援してます！ (4月7日 21時) (レス) @page23 id: a12f4a84c4 (このIDを非表示/違反報告)
羽衣瑠璃(プロフ) - ノーレーさん» ノーレーさん、コメントありがとうございます。今週の土日辺りに投稿する予定なので楽しみに待っていてください。 (4月3日 6時) (レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：羽衣瑠璃 | 作成日時：2023年8月20日 16時
