友達の時間 ページ16
『よろしくね、Aちゃん』
あの日のことは1度たりとも忘れたことがなかった。
俺たちの出会いはテレビ局にある控え室だった。
『あれ？ 初めて見る顔だね』
『あ······えっと······』
俺にとってルナちゃんは大切な友達。
そして、憧れの女の子だった。
ルナちゃんみたいになりたいと目指した頃があった。
『初めまして。私、磨瀬榛名。あなたは？』
『······A。聖、A······』
その笑顔が好きだと思った。
友達なりたいと思った。
『あのね······Aと、お友達になってほしいの、"ルナ"ちゃん』
『あははっ！ いつも皆、"榛名"や"ハル"って呼ぶからなんか新鮮！ いいよ、"ルナ"で。よろしくね、Aちゃん』
『うん！』
友達になれて嬉しかった。
テレビ局で会うこともあった。
時にはどこかで会って遊んだりもした。
そして、ルナちゃんの色んな面を知った。
演技が上手で、
可愛くて、
優しくて、
明るくて、
俺にはないものをたくさん持っていた。
憧れの友達。
いつかルナちゃんが今以上に活躍する時、俺もその近くに立ちたい。
そして、これからもずっと仲の良い友達でいたい。
そう思っていた······のに。
『あんた······転入生？ 見ない顔だけど』
『うん、今日から転入なの。名前は茅野カエデ。これからよろしくね』
『あっそ』
ルナちゃんはすっかり変わってしまった俺に一目で気がついた。
なのに俺は気づかなかった。
茅野カエデがルナちゃんだということに。
仲の良い友達だと言いながら肝心な時になんにもできなかった。
それに後悔しているのは俺もそう。
1年間、ずっと演技させていた。
痛みや苦しみを1人で我慢させていた。
俺は······
『ルナちゃん！！！』
「えっ······」
今度はもう失いたくない。
俺はルナちゃんを力一杯突き飛ばした。
ルナちゃんは驚いて目を見開き、俺を見ていた。
そして次の瞬間、肉を突き刺す音が聞こえた。
血が飛び散る音もした。
体が宙に浮き、今までのとは比べものにならないほどの痛みと熱が俺を襲う。
口の中に久しぶりの鉄の味がした。
体が重力に従って落ちていく。
「「A/Aちゃん！！！」」
『······』
俺の意識はそこでプツリと切れた。
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羽衣瑠璃(プロフ) - 雫さん» 澪さん、コメントありがとうございます。完結まで頑張ります！ (4月9日 22時) (
レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - この作品好きすぎます😭✨ 主様のペースで完結まで頑張ってください！応援してます🔥 (4月9日 20時) (レス) @page23 id: e3d32f191f (このIDを非表示/違反報告)
羽衣瑠璃(プロフ) - 明日葉さん» 明日葉さん、コメントありがとうございます。これからも時間を見つけて更新していきます！ (4月7日 22時) (レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
明日葉(プロフ) - 更新頑張ってください 応援してます！ (4月7日 21時) (レス) @page23 id: a12f4a84c4 (このIDを非表示/違反報告)
羽衣瑠璃(プロフ) - ノーレーさん» ノーレーさん、コメントありがとうございます。今週の土日辺りに投稿する予定なので楽しみに待っていてください。 (4月3日 6時) (レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽衣瑠璃 | 作成日時：2023年8月20日 16時
