正論の時間�� ページ47
否定しろ。
ここは否定するんだ。
早く······！
あの地獄から助けてくれたのは殺せんせー。
脅されてなんかいない。
喉に異物感があって息苦しさを感じる中、俺は"否定しないと"で頭がいっぱいになった。
『ち、がう······せんせーは、俺を助けてくれて──』
「助けた？ そんな訳ないだろ。ほら、もう大丈夫だ。ここに怪物はいないから正直な気持ちを教えて」
いつもの俺なら否定しても無駄だと判断できただろう。
なのに今はそこまで思考が回らず、ネタがほしいマスコミは俺にグイグイとマイクを突きつける。
眩しいフラッシュに視界がどんどん歪み、シャッター音と無神経なマスコミの質問にカルマの声は書き消されていく。
「ほら、黙ってないで教えて。もうここに怪物はいないから早く──」
「Aちゃん」
カルマがマスコミを吹っ飛ばし、俺をカメラから隠すように抱き締めた。
俺は安堵のせいかとうとう足の力が完全に抜け、カルマにもたれる体勢になってしまった。
カルマはそれになにも言わず、迷うことなく俺を横抱きにする。
視界の端では陽菜乃も同じようにマイクを突きつけられていて、それを磯貝が庇っていた。
「皆、一旦帰ろう！！ 警備もマスコミもどんどんきてる！！ こんな状況じゃなにも言えないし、聞いてくれない！！」
全員がその場から走って逃げて、人気のない駐車場まできた。
駐車場にきたあともカルマは俺を横抱きにしたまま。
『······カルマ。もう、下ろしていいよ』
「ダメ。まだこんなに震えているんだから」
······ごめん。
自分の無力さにほとほと呆れるが、意地を張る気合いも気力もない。
なんで、こんな肝心な時に······
「······どーすんだ、これから」
吉田の言葉にメグははっきりと言った。
「とにかく、ちゃんと現状を把握したいよ。なにも情報聞かせれてないんだから」
わかるのは各国の共同声明として発表された内容だけ。
情報が足りなさすぎる······
「······よし。手分けしてバリアの周囲や発生装置を偵察に行こう。夜にまたここに集まって対策会議だ。俺も······なんかうまく言えないけど、このまま終わって良いはずがない」
磯貝の言葉に全員が頷く。
頭の中はまだ混乱している。
それでも俺らは動き出した。
理由はただ1つ。
このままなにもやらず、殺せんせーとお別れなんてしたくないから。
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羽衣瑠璃(プロフ) - ラララさん» ラララさん、コメントありがとうございます。そう言ってもらえるととても嬉しいです(*≧∀≦*) (8月21日 9時) (
レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
ラララ - すっごく面白くて、楽しみにしています！色々あったけどやっと付き合えて良かった〜！こんな素晴らしい物語を作ってくれてありがとうございます！(＞人＜;ｶﾝｼｬｧ~ｯ‼︎ (8月20日 22時) (レス) @page49 id: 89c659f65a (このIDを非表示/違反報告)
羽衣瑠璃(プロフ) - とまとさん» とまとさん、コメントありがとうございます。まさかのストレス解消になるとはビックリです。こちらこそ、読んでいただきありがとうございます！ (8月5日 17時) (レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
とまと - これを読むだけでストレス抜けます。夢主の性格×カルマの絡み最高です！！いつもありがとうございます！！ (8月5日 16時) (レス) @page44 id: 3865ce0038 (このIDを非表示/違反報告)
羽衣瑠璃(プロフ) - Kk さん» Kkさん、コメントありがとうございます。そう言ってもらえてとても嬉しいです。ありがとうございます！ (7月30日 20時) (レス) id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽衣瑠璃 | 作成日時：2023年6月3日 13時
