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水も滴るなんとやら。 ページ9

じんわりと額に滲む汗に苛立ちを、覚える。

まだ5月なのにこの暑さだと、真夏になると私は生きられるだろうか。

教室の窓側の席が今は憎くてたまらないほど陽射しが肌に刺さる。

突然教室がざわり、としたと思うとみんなの視線が教室の入口付近に向けられる。

「もー、斎藤くんがいきなり水かけてくるから。」
「田淵だって楽しそうだったじゃん!」

ああ、なんだ田淵と斎藤か、なんて思ったけど向かってくる二人を見てぎょっとした。

「ちょっと、なんでそんなにびしょびしょなの?」

2人を見ると髪も制服もびっしょり濡れてしまっていた。
「今日さ、プール掃除当たってたんだけどふざけすぎちゃった。」
にこり、と笑う斎藤のシャツに視線を下ろすと若干透けてしまっている。
もちろん同じく田淵も透けていて、インナーは来ているだろうがなかなかな光景だ。

「ほら、田淵も宏介もこれで拭いて。」

鈴木が2人にタオルを差し出す。
ほんとに鈴木はお母さんだなぁ。

「斎藤くんが途中から暴走してホースの水乱射しだしてさぁ。」
「そんな気したんだよね、良かった行かなくて。」

あれ、鈴木も当番?と聞くと笑顔でうん。と返ってくる。
いや、鈴木それサボりじゃん。

「斎藤も田淵もちゃんと拭かないと風邪ひくからね。」

「ちょっとみんなに涼しさを感じて貰えるかな、って思ったんだけど。」

うーん、たしかに。
王子顔の斎藤とイケメンの田淵が濡れてたらそれだけで癒しかもしれないなぁ。
ただ、まだ5月だし肌寒い時もあるから心配だなぁ。

じゃなくて。

「冗談言わない。ほんとに風邪ひいても知らないからね。」
ガシガシと髪を拭いた田淵がボサボサの頭を手で整える。

「鈴木くん、放課後はちゃんと来てよ。」
「え、放課後もあるの?」
「昼休みだけじゃ終わらなくてさー、貴雄だからタオルこんなに持ってきてたんでしょ?」

行かなきゃダメ?と言う貴雄にダメでしょ!と食いつく2人。

「え〜、じゃあAちゃんも行くなら行くよ。」
「え、私?」
「じゃあ決定!放課後プール掃除ね。」

斎藤が頭にタオルを掛けたまま席に着く。

「こんなになるなら絶対に嫌なんだけど。」
「大丈夫だって!それなりに終わってるから後は早いよ!」
タオルの隙間から眩しい笑顔で斎藤が笑う。


その笑顔にごまけてるけど「多分。」って言ったの聞こえてるからね。

【水も滴るなんとやら。】

(Aちゃんいるなら安心だね。)
(何を思って安心だって言ってるんだろう。)

いい加減にしろお前ら!→←聞き間違いかと思う程



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設定タグ:UNISONSQUAREGARDEN , 斎藤宏介 , 邦ロック   
作品ジャンル:恋愛
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オーちゃん - 面白いくて、続きが気になりすぎています。 (2020年9月7日 19時) (レス) id: c6e6b01eb8 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - はじめまして(#^_^#)とても楽しみなお話で続きが早く読みたいです( ´艸`)これから宜しくお願いいたします(。・∀・。)ノ (2020年4月19日 17時) (レス) id: 39e224bf48 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:裕 悠 | 作成日時:2020年4月19日 14時

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