低血圧の眠り姫 ページ14
結構自分はすぐ眠れるタイプだと思う。寝ることも好きだし。
寝起きはそんなに悪いほうじゃないけど良くもない。
｢A、さすがにもう起きようよ。｣
ただ、A以上に寝ることが好きで寝起きが悪い人は居ないとは思う。
｢……。｣
｢ちょっと！無視しないで。｣
Aはちらりと俺の方を見ると嫌そうに目を細めながら毛布を被った。
｢もう10時だけど？
昨日行きたいところあるって言ってたじゃん。｣
｢斎藤さんも寝たら？私は寝ていたい。｣
こいつ……
昨夜、明日は斎藤さんオフだから行きたいところあるんだー！って目をキラキラさせてたじゃねぇか。
｢けどもうどこにも行けなくなるよ。
俺は別にいいけど。｣
もぞもぞと毛布が動き、Aがゆっくり起き上がる。
いつも綺麗な顔してる彼女だが、今日は眉間にシワを寄せて機嫌が悪そう。
｢A、田淵みたいな顔してるよ。｣
｢何？殺人鬼って言いたいの？｣
やめて、遠回しに田淵をディスるの。いや、俺もか。
｢斎藤さんのいじわる。私がこんなに寝ていたいって言ってるのに。｣
｢起こさなくても後から文句いうくせに。｣
寝るの大好きだし、寝起きは悪いし。かと言ってほっといたら｢どうして起こしてくれなかったの？｣なんて怒るし。
ほんとに手のかかるお姫様ですよ。
｢……何笑ってるの？｣
想像したらおもしろくなって笑っていると、じとりと彼女に睨まれた。
｢何も。とりあえず起きない？
俺の家何も無いからご飯でも食べに行こうよ。｣
一瞬何か考えるように目を逸らしたA。
斎藤さん、と小さな声で手を差し出す。
起こして、と言う意味かと思い手を取ると思いっきり腕にしがみつかれた。
｢ちょっと！！｣
思いっきり引っ張られ体制を崩され、よろけて彼女の上に倒れ込む。
ギリギリのところで手をついて、彼女に直接倒れ込むことは防げた。
｢……何してるの？｣
｢はい、斎藤さんも毛布の中。｣
がっしりと抱きつかれ、彼女は俺の下でふふふ、と笑う。
｢もう少しだけ寝よ。起きたらご飯食べに行こ。｣
来ているシャツに鼻を当て、スンと鼻を鳴らす。
斎藤さんの匂いだ、と笑うと彼女は目を閉じて眠る。
｢ほんと、仕方ないな。｣
体制を整え、彼女を抱きしめるようにベッドに体を沈める。
【低血圧の眠り姫】
(ちょっと斎藤さんもうお昼すぎですよ！)
(Aが寝ようって言ったんでしょ。)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るう＠邦ロックとetc(プロフ) - うわあ………尊い………めっちゃすきです………m(_ _)m (2020年10月3日 7時) (
レス) id: d47d9f7e3c (このIDを非表示/違反報告)
裕(プロフ) - まるこさん» ありがとうございます。ちょっと過激すぎたかな？と思いましたが楽しんでいただけて嬉しいです。第2弾、終わったばかりですが第3弾が始まりました。またお付き合い頂けたら嬉しいです。 (2020年4月27日 20時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
裕(プロフ) - 零さん» ありがとうございます。第2弾、終わったばかりですが第3弾が始まりました。またお付き合い頂けたら嬉しいです。これからもよろしくお願い致します。 (2020年4月27日 20時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
裕(プロフ) - あちゃさん» ありがとうございます。第2弾、終わったばかりですが第3弾も登場しております。またお付き合いください。 (2020年4月27日 20時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
まるこ(プロフ) - 第二弾お疲れ様でした！どのお話も楽しく読ませていただきました！（最後のお話私的に最高すぎました、、、！）第三弾も楽しみにしていますので、無理せず更新していただけると嬉しいです！ (2020年4月27日 2時) (レス) id: 5234202a18 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：裕 悠 | 作成日時：2020年4月8日 18時
