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「離せよ。」
斎藤は私の腕を掴んでいる相手の腕を握る。
「なに、お前この子の知り合いなの?」
「そうだけど。」
ナンパ男は斎藤を上から下までじろり、と見ると口元を緩ませた。
「そんなひょろっとしてて勝てると思ってんの?」
なんてこいつ失礼な。
このまま斎藤が殴られてしまったらどうしよう、と思うとじわりと冷や汗が浮かぶ。
「そんな問題じゃねえんだよ。」
はっ、と斎藤の顔を見ると冷たい目をして相手を睨んでいた。
見たことない表情に思わず体が固まった。
相手の手の力もふっ、と緩んだ気がした。
そのタイミングで腕を引くと簡単に振りほどくことが出来た。
「……あほらし。」
ナンパ男は吐き捨てるように呟いて離れていく。
「A何してんの、夕方に帰ってたじゃん。」
もう一度斎藤の顔を見るともういつもの斎藤の顔だった。
「あ、そこのモールで買い物してた。」
「長くない?
この付近あんまり治安よくないんだから1人で歩いちゃ危ないでしょうが。」
ほら、行くよ。と斎藤に促されて駅の方面に歩き出す。
あの斎藤が助けてくれるなんて。
いつも田淵とふざけあってたり、なるべく面倒事は避けて通りたい斎藤が。
「……斎藤、ありがとう。」
ん?と振り返る斎藤。
いつも非力だなんてからかわれたりしてるけど、やっぱり男の子なんだな。
「ん、気をつけてね。A女の子なんだから。」
そう言ってふんわり、と優しく笑う斎藤に不覚にもドキドキしてしまった。
【不覚にもときめいた】
(昨日斎藤に助けてもらった。)
(なに、斎藤くん敵と戦ったの?どんなんだった?)
(チャラ男と戦ったよ。)
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裕(プロフ) - 夕凪さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉に励まされました。夕凪様の小説も読ませて頂きたいと思います。そして続編、少しずつですが書いていこうと思いますのでまたよろしくお願いします。 (2020年4月8日 18時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - はじめまして、こんにちは。小説通して、とても楽しませて頂きました。わたしも勝手ながら夢小説を書いているのですが、情景・心理描写など参考になる部分が多々ありました。ひとときの夢をありがとうございます。もし可能でしたら…続きを楽しみにしています。 (2020年4月8日 14時) (レス) id: e6f9b067c6 (このIDを非表示/違反報告)
裕(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます!私の中の斎藤さんイメージで書いているので自身は楽しく書かせていただいております。楽しんで頂けてとても嬉しいです。これからも頑張ります! (2020年4月2日 20時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 第一話から拝見させて頂いてます。色っぽくてドキドキする展開にいつもときめいており、更新されてるとわくわくしながら読んでいる自分がいます。これからも応援させて頂きます、頑張ってください! (2020年4月2日 19時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:裕 悠 | 作成日時:2020年3月27日 11時