不覚にもときめいた ページ44
「ねえ、田淵と俺どっちが強そう?」
「田淵。」
私の即答によっしゃー、と田淵が両手をあげる。
見た目でしょー?と困ったように笑う斎藤。
放課後、前の席の斎藤と田淵が謎の張合いを見せている。
「田淵にぶつかったら飛ばされそうだもんね。
それと対照的に斎藤は飛んでいきそう。心配。」
体鍛えたら?という田淵に腹筋は毎日してるよー、と斎藤がぽんっとお腹を叩く。
腕まくりした学ランの袖口から見える細い腕が、ますます不安を煽る。
「斎藤、折れそうだよ腕。」
「何、みんなして非力みたいに言うのやめて。」
「みたいにじゃないんだよ、斎藤くん。ストレートに言ってるんだよ。」
田淵の腕は太いもんなー。
「突然の敵の襲来時は田淵お願いね。」
「A、何に狙われんの?」
「あー、敵多そうだよねA。」
わかるー、と声を上げる2人。
私の何を知ってそんなことを言うんだ。
そのまま謎の盛り上がりを見せる彼らを置いてカバンを取って教室を出た。
「真っ暗じゃん。」
帰りにお気に入りの店が入っているショッピングモールに寄って買い物していたら、出る頃には外が真っ暗になっていた。
ほんの1時間くらいの気分だったのに知らない間に2時間以上も滞在していた。
駅に向かって歩き始める。
この時間キャッチとか変な人とか多いからあんまり通らないんだよな。
「ねぇ、君1人なの?」
思ったそばから同い年くらいの男の子に声をかけられる。
ブレザーのデザインから見て隣町の高校の生徒だろうな。
「……。」
「ねぇ、なんで無視すんの?」
無言で通り過ぎようとするけれど、真横にピッタリくっついて着いてきた。
「その制服この近くの高校でしょ?」
「……すみません、急いでるんで。」
「ねぇ、ちょっとだけ話聞いてよ。」
早歩きで振り切ろうとすると、突然腕を掴まれた。
「ちょっと、離してください!」
「離したら行っちゃうでしょ?俺君と話してみたいんだけど。」
キャッチよりもタチが悪いナンパだ。
腕を振ってみても相手はしっかり掴んでいるから離れない。
「やめて、離して。」
「じゃあ電話番号教えて!」
「何してんの?」
間に入ってきたのはギターを背負った斎藤だった。
「なに、お前。」
明らかに不機嫌そうな声を出すナンパ男。
体の大きさ的に身長は斎藤の方が大きいものの、ガタイは相手の方が有利。
だめだ、斎藤このままじゃ……
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裕(プロフ) - 夕凪さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉に励まされました。夕凪様の小説も読ませて頂きたいと思います。そして続編、少しずつですが書いていこうと思いますのでまたよろしくお願いします。 (2020年4月8日 18時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - はじめまして、こんにちは。小説通して、とても楽しませて頂きました。わたしも勝手ながら夢小説を書いているのですが、情景・心理描写など参考になる部分が多々ありました。ひとときの夢をありがとうございます。もし可能でしたら…続きを楽しみにしています。 (2020年4月8日 14時) (レス) id: e6f9b067c6 (このIDを非表示/違反報告)
裕(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます!私の中の斎藤さんイメージで書いているので自身は楽しく書かせていただいております。楽しんで頂けてとても嬉しいです。これからも頑張ります! (2020年4月2日 20時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 第一話から拝見させて頂いてます。色っぽくてドキドキする展開にいつもときめいており、更新されてるとわくわくしながら読んでいる自分がいます。これからも応援させて頂きます、頑張ってください! (2020年4月2日 19時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:裕 悠 | 作成日時:2020年3月27日 11時