それは恋ってやつですか? ページ35
「Aほんとに髪綺麗だよなー。」
「そりゃ、ちょっとでも綺麗に見えるように毎日手入れしてるからね。」
隣の席の橋本が私の髪をさらさら、と触る。
日誌を必死で仕上げる私にお構い無しで指に髪を絡めたり、ぱらぱら、と指から落としたりほんとに自由だ。
慣れた手つきから普段からこんなふうに女の子とスキンシップ取ってるんだろうな。
もともと顔も整ってるし、サッカー部の主将とあって女子からも人気があるしおかしくもないか、と自分を納得させる。
「集中できないからやめてよー。」
「え、俺に触られて集中出来ないの?それって恋じゃない?」
「バカ、くすぐったくて集中できないの。」
恋じゃないかー、と明るく笑う橋本。この笑顔とこのコミュ力で何人も女の子を落としてきたんだなー。
「橋本、宮川先生呼んでたけどなんかした?」
橋本の反対の方から声が聞こえて、見上げると斎藤が立っていた。
「え、顧問じゃん。なに、なんか言ってた?」
「いや、何も。橋本に職員室に来いって言えってサッカー部の後輩に言ってた。
なんかしたんじゃねぇの?」
斎藤はいたずらっぽく笑う。
まじかよー、ありがとう宏介!と言って橋本は席を立った。
「宮川先生怒ってたの?」
橋本が行った方を見ていた斎藤が、こちらに視線を向ける。
橋本もイケメンだけど斎藤も顔整ってて何気に女子に人気なんだよな。
橋本とは正反対の端正なお顔立ちでどっちかって言うと美人って感じ。
「いや、知らない。」
「ふーん。」
「呼んでたの昨日だから。」
へ、っと情けない声を出して顔を上げた。
なんて声出してんの、と斎藤が口元を緩ませる。
「だって、え?昨日?」
「呼んでたのは本当。宮川先生が後輩に言ってたのが昨日の昼休みくらいだから……
怒ってるかどうかは知らない。」
斎藤は橋本が座っていた席に座るとじーっと私を見つめる。
「な、なんでそんな事言ったの?」
「んー、橋本がAの髪ずっと触ってたから。」
頬に触る一筋髪を、斎藤の長い指が掬う。
近いところで斎藤の手を見ると意外と大きくて筋張っていて男の人!って手してるんだな。
いつも細くて体も薄いからみんなに非力だなんて言われてるけど今はそう思えない。
「触られるの嫌だな、って思ったし俺も触ってみたいな、って思って。」
なんで?、も問いかけてくるとなんでだろうね、と優しい笑顔を向けられた。
【それは恋ってやつですか?】
(斎藤、その顔はずるい。好きになりそう。)
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裕(プロフ) - 夕凪さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉に励まされました。夕凪様の小説も読ませて頂きたいと思います。そして続編、少しずつですが書いていこうと思いますのでまたよろしくお願いします。 (2020年4月8日 18時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - はじめまして、こんにちは。小説通して、とても楽しませて頂きました。わたしも勝手ながら夢小説を書いているのですが、情景・心理描写など参考になる部分が多々ありました。ひとときの夢をありがとうございます。もし可能でしたら…続きを楽しみにしています。 (2020年4月8日 14時) (レス) id: e6f9b067c6 (このIDを非表示/違反報告)
裕(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます!私の中の斎藤さんイメージで書いているので自身は楽しく書かせていただいております。楽しんで頂けてとても嬉しいです。これからも頑張ります! (2020年4月2日 20時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 第一話から拝見させて頂いてます。色っぽくてドキドキする展開にいつもときめいており、更新されてるとわくわくしながら読んでいる自分がいます。これからも応援させて頂きます、頑張ってください! (2020年4月2日 19時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:裕 悠 | 作成日時:2020年3月27日 11時