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授業終わりのチャイムがなり、就業の挨拶をした瞬間斎藤がすぐに振り返った。
「A、あのさ」
斎藤が何かを言いかけたけど逃げるように席を離れた。
「Aどうした?なんで無視すんの?」
席を離れたのにすぐ後ろを追いかけてくる。もう私に構わないで。
クラスでも仲良い女子の1人だったから彼女が出来た報告をしてくれるのかもしれないけど、そんなことされたら泣いちゃうし、この先斎藤と普通な顔して話すことが出来なくなってしまう。
さっきまで話題の中心だった斎藤が私を追いかけてるんだから、クラスはまたザワザワし始める。
「え、斎藤くんなんでA追いかけてるの?」
「さっき美嘉先輩に告白されたって言ってなかったっけ?」
ぼそぼそと聞こえてくる声に耐えられず、私は走って教室を飛び出した。
ーそんなの私が1番聞きたいよ。
途中で何人かに声をかけられた気がしたけど無我夢中で走った空き教室に逃げ込んだ。
扉を閉めてやっと1人になるとポロポロと涙が零れてくる。
さすがにこれから先斎藤の恋愛相談なんて受けられるメンタルなんか持ち合わせてないし、先輩と2人でいる姿を見て平然を装える自信もない。
ただの友達のフリしてずっと斎藤を近くで見てきたのはずるいと思うけど、こんなに急に斎藤を誰かに取られてしまうのは悲しすぎる。
「あんな笑顔……見たくなかった……。」
ガラガラッ
突然教室の扉が開いた事にビクッと体が跳ねてしまう。
「Aさん、授業サボりは良くないですよー。」
この声……
聞き覚えのある声におそるおそる振り返ると口を尖らせた斎藤が立っていた。
「え、何?何泣いてんの?」
「な、泣いてない!」
ゴシゴシと目元を擦って誤魔化そうとするけどすぐに斎藤に手を捕まれ阻止される。
「目腫れるよ。てゆーかなんで嘘つくの。
めっちゃくちゃ泣いてるじゃん。」
あーあ赤くなってる、と私の目元を斎藤が指で触る。
泣きたくないのにどんどん涙が零れる。
なんで追いかけてくるの?なんでこんなドキッとすることするの?
こっちは諦めようと必死なのに。
「……やめてよ、こんなことするの。」
「なんで?」
「美嘉先輩いるのにこんなことしたら美嘉先輩に失礼だよ。」
"美嘉先輩"の言葉に私の手を掴んでいた斎藤の手が離れる。
やっぱり美嘉先輩と付き合ってんじゃん。
「なんでそんな美嘉先輩って言ってくんの。
急に無視するし避けるし、泣き出すし俺の事嫌なの?」
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裕(プロフ) - 夕凪さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉に励まされました。夕凪様の小説も読ませて頂きたいと思います。そして続編、少しずつですが書いていこうと思いますのでまたよろしくお願いします。 (2020年4月8日 18時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - はじめまして、こんにちは。小説通して、とても楽しませて頂きました。わたしも勝手ながら夢小説を書いているのですが、情景・心理描写など参考になる部分が多々ありました。ひとときの夢をありがとうございます。もし可能でしたら…続きを楽しみにしています。 (2020年4月8日 14時) (レス) id: e6f9b067c6 (このIDを非表示/違反報告)
裕(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます!私の中の斎藤さんイメージで書いているので自身は楽しく書かせていただいております。楽しんで頂けてとても嬉しいです。これからも頑張ります! (2020年4月2日 20時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 第一話から拝見させて頂いてます。色っぽくてドキドキする展開にいつもときめいており、更新されてるとわくわくしながら読んでいる自分がいます。これからも応援させて頂きます、頑張ってください! (2020年4月2日 19時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:裕 悠 | 作成日時:2020年3月27日 11時