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低体温を抱きしめる朝 ページ22

珍しく朝早く目覚めた気がする。時計を見るとまだ7時前だった。

もう春だと言うのに朝はまだ肌寒い。
毛布から出ていた腕がひんやりとしている。

「ん……ぅん。」

隣に寝ていた彼女がごそごそと動き出す。
目を覚ましたのかと思い顔を覗き込むとまだ瞼を閉じている。
彼女も寒いと思ったのか毛布に包まるように体を丸めた。


「わたし冷え性だからすごく体冷たいんだよね。」

そういえば付き合いたての頃に言ってたな。

彼女が巻き込んだ毛布の切れ目を探してその中に潜り込む。
彼女を見上げるようにして腰を抱き寄せると眉間にシワを寄せながら薄く瞼を開いた。

「……宏介、起きたの?」

「ちょっと目覚めただけ。」

唇にちゅっ、と軽い音のするキスをすると彼女の白くて細い指が俺の唇をなぞる。

「ふふ、宏介唇綺麗だね。柔らかい。」

「乾燥は大敵ですから。」

そこだけ女の子より女の子だね、と彼女は笑ってもう一度瞼を閉じる。

自分の毛布のはずなのに今日は噎せ返るほど彼女の甘い匂いが呼吸とともに深く体に入ってくる。

その香りは彼女が隣にいる安心感と、体の芯が痺れるような感覚を起こす。

頭がくらくらとするこの甘い痺れは、何故か心地よく感じた。

彼女が上から抱きしめるように首元に腕を絡ませる。
「宏介、あったかい。
もう少しだけ、ちょっとだけ寝よう?」

右耳が彼女の心臓の音が聞こえてくるほど近いところにある。
一定の速さで、優しい音でとくん、とくんと響く。

「いいよ、寒くないように、離れてやらないから。」

彼女はふふ、っと息を漏らして笑い俺の後頭部の髪をサラサラと撫でた。


「A、愛してるよ。」

言葉に発さず、息が抜けるように呟くと

「わたしも。」

と掠れた声で返事が返ってきた。



【低体温を抱きしめる朝】


低体温な作者です。毎朝寒くて5時に目が覚めます。
温めてくれる斎藤さんが居れば寝不足がきっと解消されます。

こぼれる前に抱きしめて→←.



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設定タグ:UNISONSQUAREGARDEN , 斎藤宏介 , 邦ロック   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - 夕凪さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉に励まされました。夕凪様の小説も読ませて頂きたいと思います。そして続編、少しずつですが書いていこうと思いますのでまたよろしくお願いします。 (2020年4月8日 18時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - はじめまして、こんにちは。小説通して、とても楽しませて頂きました。わたしも勝手ながら夢小説を書いているのですが、情景・心理描写など参考になる部分が多々ありました。ひとときの夢をありがとうございます。もし可能でしたら…続きを楽しみにしています。 (2020年4月8日 14時) (レス) id: e6f9b067c6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます!私の中の斎藤さんイメージで書いているので自身は楽しく書かせていただいております。楽しんで頂けてとても嬉しいです。これからも頑張ります! (2020年4月2日 20時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 第一話から拝見させて頂いてます。色っぽくてドキドキする展開にいつもときめいており、更新されてるとわくわくしながら読んでいる自分がいます。これからも応援させて頂きます、頑張ってください! (2020年4月2日 19時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:裕 悠 | 作成日時:2020年3月27日 11時

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