検索窓
今日:7 hit、昨日:40 hit、合計:64,148 hit

待っているのはお決まりで ページ1

ー.ごめん、Aちゃんもう少しだけかかりそう……


申し訳なさそうなトーンで謝るから、電話越しからでも表情が読み取れそうだ。


「大丈夫ですよ、宏介さん。この時期忙しいのはわかってますから。」


ー.そういう問題じゃないの、俺から言ったのに約束守れてないから。


この時期、レコーディングやラジオ収録、次のツアーの準備などで宏介さんが忙しいのは知っている。
だから私も出来るだけ仕事の邪魔をしないように連絡を控えたり、寂しくないように仕事や趣味に励むようにしていた。


宏介さんがこんなに落ち込んでいるのは3日前の電話がきっかけ。


滅多に無理して会おうとしない彼が「夜は時間が空きそうだから少しだけ会おう。」と言い出したこと。


待ち合わせのカフェに時間になっても現れないからきっと忙しいんだろうな、と思ったけど。
きっと、自分から取り付けた約束に遅れてしまっていることに責任を感じているんだろう。


ー.これ以上遅くなると危ないから家に帰ってていいよ。俺、そっち行くから。


「でもスタジオから遠くなりますよ?待ってますから気にしないで、」


ー.よくないの。俺戻んないと行けないから。ほんとごめんね、帰って待ってて。じゃ。


電話が切れる前に後ろから「こーすけー」と呼ぶ鈴木さんの声が聞こえたから今からまた暫くは連絡がとれないだろう。


「家に帰ってて、と言われたけどな……」

ここは宏介さんの今仕事しているスタジオから近いカフェ。夜になると賑わいも落ち着いているからよく2人ここで待ち合わせをする。


いつも私が先に着いて同じ場所で座っていると、後から来た彼が迷うことなくまっすぐここに来てくれる瞬間がわたしは好きだ。


家で待ってて、と言われても彼を待つ時間も好きだからまだ待っていたい。

「もう少し待ってて、閉店まで来なかったら帰ろう。」


ここに来る前に寄った本屋で買った雑誌を袋から取りだし、読み始めた。









待ち合わせの時間から2時間ほど過ぎた。雑誌も読み終わってしまったし、カフェもあと30分で閉店してしまう。
1時間前くらいに「ちょっとだけまだカフェにいます」と入れたLINEもまだ既読にはなっていない。



もうすっかり冷めてしまったカフェオレを1口飲む

そう言えばいつもブラックしか頼まない宏介さんが、突然甘ったるいカフェオレを飲みたいって言って飲んだものの甘すぎて顔を顰めていたなぁ……

そんなことを思い出して思わずふふっ、と笑ってしまった。

.→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
82人がお気に入り
設定タグ:UNISONSQUAREGARDEN , 斎藤宏介 , 邦ロック   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 夕凪さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉に励まされました。夕凪様の小説も読ませて頂きたいと思います。そして続編、少しずつですが書いていこうと思いますのでまたよろしくお願いします。 (2020年4月8日 18時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - はじめまして、こんにちは。小説通して、とても楽しませて頂きました。わたしも勝手ながら夢小説を書いているのですが、情景・心理描写など参考になる部分が多々ありました。ひとときの夢をありがとうございます。もし可能でしたら…続きを楽しみにしています。 (2020年4月8日 14時) (レス) id: e6f9b067c6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます!私の中の斎藤さんイメージで書いているので自身は楽しく書かせていただいております。楽しんで頂けてとても嬉しいです。これからも頑張ります! (2020年4月2日 20時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 第一話から拝見させて頂いてます。色っぽくてドキドキする展開にいつもときめいており、更新されてるとわくわくしながら読んでいる自分がいます。これからも応援させて頂きます、頑張ってください! (2020年4月2日 19時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:裕 悠 | 作成日時:2020年3月27日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。