酔って ページ7
涼太 side
Aとお互いの気持ちをぶつけ合うことができた。
二人とも不器用で、
だからこそ、もっと自分の気持ちに自分勝手になって良かったんだ。
そのことに、大の大人になってから気付かされるなんて。
いや、大人になったからこそ、どこか遠慮がちになってしまっていたのかもしれない。
そして、Aからの衝撃の告白。
本当に驚いたし、
俺は何てことをしていたんだろう、と後悔に襲われた。
俺がAに翔太の話を聞いて貰っている間、Aには苦痛でしかなかったはずだ。
俺も翔太の近くでずっと苦しい思いをしてきたから、身に染みて分かる。
でも、そんな俺の後悔なんて、
Aの笑顔で一気に吹き飛んだ。
あぁ、Aは覚悟を決めて、前に進んだんだ。
俺がここで後悔したり、申し訳ないと思うのはお門違いだ。
だったら俺も、前に進むしかないじゃないか。
「ねぇ、A」
「んー？」
Aはもう話すことはないと、ビールと取り出して一人で晩酌を始めていた。
一応俺の分も出してくれたけど、
いや、流石に今日は飲む気にはなれない。
緊張してた分、酔いが早く回りそうだし。
「翔太にさ、
「あー！そういえば！翔太から告白されたんでしょ？」
"翔太" と名前を出して、思い出したように言う。
アルコールが入って、テンションが高い…
「え、翔太から聞いたの？」
「うん」
あいつ…
口止めしないと、ペラペラ喋りそうだな。
「良かったじゃん。あ、でもまだ答えてないんだっけ？」
あいつ！
どこまで喋ってんだ！
俺が少しムッとした表情をしたのを見て、笑うA。
「あははっ、そんな怒んないであげて。
あいつもあいつなりに、私たちのこと心配してついでに言ったようなもんだから」
一缶しか飲んでないのに、珍しく顔を赤くして笑いながら話すA。
そっか、
翔太なりのフォローをしてくれていたんだ。
言ってくれれば良かったのに。
思わずニヤけてしまう。
「…もしもーし。さっき告白した人の前で、別な人のこと思い出してニヤけるのやめてもらえますかぁー？
あと、気持ち悪いでーす」
…完全に酔ってる。
気持ち悪いと言われ、顔を引き締める。
「気持ち悪いは余計でしょっ…て、寝てるし」
言い返す為にAを見ると、ソファに伸びて寝てる。
酔ってる姿自体、見るのは珍しい。
それぐらい、緊張してたんだな。
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作者名：カリフラワー | 作成日時：2020年5月6日 2時
