交わらない三角形 second (ページ4)

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気合ページ4

翔太が帰ってから、涼太にメールをする。

明日、時間ある?

我ながら、なんて素っ気ない内容。

でも、すぐに返信がきた。

涼太19時に仕事終わるから、その後だったら大丈夫

ありがとう

たったそれだけの内容でも、嬉しくなる。

いつものことだったのに。

・

・

・

なんとか仕事を定時で終わらせ、家で涼太を待つ。

勿論、一人暮らしの私のマンションで。

19時を少し過ぎた頃。

　ピンポーン

インターホンが鳴る。

ふぅ、と一つ息を吐いて、気合を入れる。

話さなければならないことを、頭の中で一つ一つ確認する。

翔太や佐久間君に言われて気づいたこと。

そしてもう一つ、あの日佐久間君と約束を思い出す。

高台で大泣きした日の別れ際、佐久間君とある約束をした。

_____________________

「Aちゃん、俺たちそろそろ覚悟決めないといけないと思うんだ」

「覚悟？」

真っ直ぐな目を夜景に向け、珍しく静かに佐久間君が話し出す。

「そう、覚悟。
…俺、阿部ちゃんに告白するよ」

「…え？」

佐久間君はずっと阿部君に好意を抱いている。

そのことで、ずっと悩んでいた。

「もうさ、区切りをつけないといけないって思ってたんだ」

「区切り？」

「そう、区切り。この気持ちに」

「……」

すごいな、佐久間君は。

私はただ、聞くことしかできなかった。

「だからさ、Aちゃんも一緒に言おう」

「……え？…は？え！？」

一瞬何を言ってるのか分からなかった。

だから、間の抜けた声が出てしまった。

「俺も、臆病だからさ。だから、誰かが一緒に頑張ってるって思うと、俺も頑張れる気がするから。
ごめんね、俺の我儘にだけど、付き合ってくれない？」

可愛い目を向けて、まるでおねだりをするように見てくる。

……ずるいよ。

そんなこと言われたら、

断れないじゃん。

「……分かった」

「…ホント？」

念押しのように顔を覗かせて聞いてくる。

その目に少しだけ、ドキッと胸が打つ。

誤魔化す為に目を逸らす。

「う、うん。言えるか、自信はないけど…」

「ありがとう！」

そう言って、笑顔で私の手を両手で握ってくる。

ち、近い！

「で、でも！いつになるかわからないよ！」

「大丈夫！俺いつになるか分かんないし！」

ニャハッと笑う。