3 ページ3
『…まって俺達ってことは』
「ああ、FBもきっくんもえおえおも居る。皆お前を待ってんだ」
だから早くしろ、と引っ張ってるあろま。
私は彼の真っ直ぐな目から視線をずらし掴まれている手を振り払う。
『気持ちは嬉しいけどそっちには行けない。私は、西国の軍医だよ。一度でも国の為にって命をかけた。……だから、』
私を置いていって。
とは、言えなかった。
自分の為にこのくだらない戦争に参加した4人に申し訳ない気持ちはある。けど、私はそんなことを思う資格はないのだ。
西国に行く意思が無かったとしても一度忠誠を誓ってしまった私は。裏切り者と言われても言い返せない、私は。
『…とにかくそっちには行けない』
心のうちをあろまに明かせないまま、立ち上がって外したガスマスクを付ける。彼を一瞥すると俯いて表情は見えなかった。
ごめん、と俯くかれに謝ってから踵を返し、背中を向ければ「待てよ」と少し低い声。
「俺は無理矢理にでもお前を連れて帰る。」
『ねぇ話聞いてた？』
「聞いてたっつの。つまりは西国を裏切れないってことだろ」
大事な何かは違う気がするが、
大方その通りだ。
「なら、裏切る形にしなきゃいいだけだな」
『……それは、どういう』
「＿＿こういうことだよ」
背後から聞こえた別の声に急いで振り向くと、何かを首に当てられて体が痺れた。あぁくそ、スタンガンか。
力を失って倒れる体。地面まであともう少しの所で、あろまじゃない誰かのたくましい腕に包まれる。
視界の隅で見えたのは、
ふわふわの髪と眠そうに垂れる瞳。
『……ぇお、え…お…』
意識が飛ぶ前、
彼の口元が「ごめんな」と動いた。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←2
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：-naki-
| 作成日時：2018年6月26日 16時
