喧嘩するほどに仲が悪い。 ページ41
21時46分。
マンションの廊下にスニーカーよりは軽く、ピンヒールよりは重厚感のある音が響く。
音の元凶は白いロングブーツに白いコートという無駄に清潔感のある風貌で、染まりたてのブルーラベンダーの髪を揺らしながら上機嫌に長い廊下を歩いていた。
エレベーターを降りて十数メートル歩いたところで、音は目的の部屋の前でピタリと止まり、代わりに備え付けのインターホンが小さく機械的な音を立て──
『ねぇ寒いから早くしてー』
なかった。廊下に響いたのは不服そうに急かす声と、扉を軽くノックする音。もはや存在すら忘れられたのかと思うけど華麗に無視されたインターホンはどこか寂しげな様子で壁と同化する。
無機質ゆえに流す涙もないインターホンがこれほどまでに悲壮感に満ち溢れている光景を見たことがあろうか。いやない。
菊池「お疲れー」
『...飲んでる？』
菊池「飲んでない」
『飲んでるだろ』
しばらくして開いた扉の奥から私を迎えたのはサラッサラの黒髪をしたほろ酔い顔のイケメン。一般論として、このような来客を迎える場合は概ね家主が扉を開けるのが相場だろう。
しかし、ここの家主はそんなことお構い無しとばかりに使者を使わせてきた。これは如何なものか。来客者が私だと知っていての行動か？他のお偉いさんならたとえスポーツ観戦中でも、ポップコーンを放り投げる勢いで自分が扉を開けたのだろうか。
菊池「Aも大きくなったな」
『それ会う度に言うのやめてくれない？親戚の叔父さんじゃないんだからさ』
菊池「てか最近俺に冷たくない？冷めちゃった？」
『あー最近ハマってんだよね』
菊池「へーそうなんだ。.......ん？どういうこと？」
適当な会話をしながらリビングの扉を開け放つ。そこではシラフ顔の樹が目だけで私を見てグラスを煽っていた。
狭いグラスの中で深い赤色をしたワインがぐらりと揺れる。
『やっぱり飲んでんじゃん』
菊池「あはっ！バレちゃった？」
『なんかポーズといい口調といい絶妙にダサいよ。やっぱり年だね、菊池も』
ウインクをした菊池は片足をあげて拳を顎にくっつける。その姿さることながら、まるで少女漫画の悪役女子に憧れたもののなりきれなかった残念感あふれる言葉遣いがなんともいえず吐き気を誘う。
『胸糞悪い映画立て続けに三本見た気分』
菊池「どんな気分だよそれ」
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はたけ - 待ってました！😭これからもこの調子で更新してくれると幸いです💗 (10月9日 17時) (
レス) @page43 id: 8c0f2cdea1 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - mizuiroさん» えぇありがとうございます😭😭長期休暇いただいてました。今年もよろしくお願いします✨ (2023年1月2日 10時) (レス) id: 268531d015 (このIDを非表示/違反報告)
mizuiro(プロフ) - あけましておめでとうございます！更新待ってました...！ (2023年1月1日 23時) (レス) id: c168ba2284 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり - 未来さん» これからも楽しみにしてますね！一つ質問なのですが七木ちゃんメンバーで唯一北斗だけ君付けですがなんでですか？ストーリーとして読んでみたいです！🙏 (2022年4月20日 16時) (レス) id: 679a544487 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - おにぎりさん» えぇ！そんなに褒めていただいて嬉しい限りです！キュンキュン恋愛要素ゼロのギャグ小説でよければこれからもお願いします^ ^ (2022年4月17日 11時) (レス) id: 268531d015 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未来 | 作成日時：2021年10月25日 22時
