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色んな事があったけれど、 お腹の赤ちゃんは皆に愛されている。
「ガチで妊娠しとるがや……！？」
『ガチだよ？』
「やべえ……、バカ嬉しい。自分のことみたいに嬉しい！」
新居に初めて人を呼んだ。亮くんと私の共通点といえば誕生日や東海オンエアだけど、忘れてはならないのが理Yだ。
「増田うるさいよ。赤ちゃんびっくりしちゃう」
クラスメイトであり今でも深く交流す している増田とひかるが遊びに来てくれた。
増田には亮くんと同様妊娠を伝えていなかったけど、ひかるは数少ない妊娠を知る友人だった。小学校からずっと一緒だったし、私の恋を誰よりも応援してくれた。
「本当に同棲始めたんだね」
『うん！ おかげ様でね？』
「心配かけやがって……！」
良かった、と玄関先で抱き締めてくれる。頭を撫でて半泣きで。ひかるは情に厚い。
「福尾のことぶん殴ろうとしたんだから！ すぐにでもち○こ切ってやろうって……」
『ふふっ』
弱々しいのに出てくる言葉は衝撃を伴う。
「俺バカ恨まれてる？」
「恨まれとるな。浅川は過保護だから」
「過保護じゃないげ。ゴム忘れとる事自体ありえんのに中に出して妊娠までさせとる。クソじゃん、男として」
ひかるはド正論をぶちまけた。
「しかもクリスマスは誰と過ごそうかとか動画でやり始めるし、……もし誘われたら絶対に去勢してやるって思ってた」
「えっ」
私を離して亮くんを睨む。
「一生子供作れんようにしてやりたかった」
亮くんは意図的なのか本能なのか、怯えるように股間を隠した。
ざわ先輩に遭遇するまでひかると私達の幼馴染、双方の家族以外誰にも伝えていなかった。
ひかるはあの野郎、と泣いた。幼馴染もAを大切にすると言ったくせに、と酷く恨んでいた。あいつが妊娠させたくせに、どうしてAばかり苦しい思いをしなければならないのか。かつてのクラスメイトへの醜悪は尽きなかった。
『沢山心配してくれてありがとう。でももう大丈夫だげ。亮くんは沢山反省したしちゃんとパパやってくれとる。本買って読んでパパ実践しとるから』
「ぶっ」
ひかるが吹き出した。
「ねえチクるのはダメじゃん……」
「亮くんそうやったん？」
増田もニヤニヤと頬を赤らめる亮くんを見つめる。
「恥ずかしながらなんも分からんかったから」
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2021年3月11日 1時
