RESTART

♯♯♯ ページ50

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妊娠してすぐの私に声をかけるならあなたは幸せになれるよ、と言う。

愛する彼を守るためにシングルマザーになろうと気張った。無理が祟って元々酷かったつわりは悪阻となり、入院するほど悪化した。

でもその全ては朝陽の成長で報われている。シングルマザーにはならなかった。愛する彼は仲間とともに私を見つけ出した。結婚して夫婦になって、YouTubeに子育てに七転八倒しながらも支え合っている。



「ママ！ ちゅき！」


誰に教わったのだろう。朝陽はほっぺにチューを覚えた。してやったりの笑顔はパパそっくりだ。



『ママもあっくん好きー！』


そんな可愛い息子を真正面から抱き締める。ほっぺに口を付ければまた嬉しそうにケラケラ笑う。



「こら！ ママにチューしていいのはパパだけだよ！」


息子に焼きもちを妬きつつ、パパはニコニコして朝陽も私もまるごとハグする。



「パパ！ ちゅき！」


「パパも朝陽大好き！」


思い描いた未来は早くやってきた。子供ができたのも突然で先行きが見通せず不安に陥った。

でも胸を張って言える。私は今幸せだ。亮くんは息子の脇を支えながら頭上に持ち上げ、ぐるぐるとメリーゴーランドのようにゆっくりと回った。



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「寝ちゃったね」


『ね』


朝陽は遊び疲れてぐっすり眠った。お互いウイスキーとレモンサワーを片手に夫婦の時間を紡ぐ。


「いやあ、俺幸せだわ」


『え？』


酔っ払ったのだろうか。亮くんは頬を赤くする。



「Aがいて、朝陽がいてさ。こんなの奇跡じゃん。Aがいなかったら朝陽はおらんかった。……Aがいなくなった時は、自分が自分じゃないみたいだった」


お酒が入ると亮くんは可愛くなる。ざわ先輩が苦笑いしながら教えてくれた。



「Aとずっと一緒にいたい……」


大きな体が抱き着いてきた。全体重を乗せ、屈んで顔を肩に埋める。



「Aが思うより何十倍も何千倍も愛してるよ……」


顔に血が上っていく。恥ずかしげもなく愛を囁いた亮くんはウイスキーを残し、そのまま眠ろうとする。



『まだ寝ないで？』


「んー……」


体勢を崩しながら寝室まで運ぶ。



「一緒に寝ようよお……」


『……仕方ないなあ』


嬉しい時、悲しい時に亮くんがいる。私だってずっと一緒にいたい。

私は朝陽が起きないように、静かに亮くんに包まれた。


END


START
番外編始めました！

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