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「こたつ、すごい〜……」
春とはいえ夜はまだ冷える。この地域は標高高めだからなおさらだ。私はこたつで溶けていた。
「だろ?」
ドヤ顔の雅貴くんは机の上にみかんを2つ置いた。そして1つを剥き始める。
少しして、こたつの中に雅貴くんの長い足が入ってきて――、
「ひゃあっ!? ちょっ、ちょっと待って、足、足っ!」
「!? どうした?」
「だから足だってば! スカートの中に入ってるんだけど!?」
「は!? す、すまん! なんか柔らかいから布団だとばかり――」
「お尻ですけど!? 痛ぁ!」
逃げようとしたら腰がこたつの机に引っかかってこけた。傍から見たらこたつに住んでるかたつむりのような状態で座布団の上に倒れ込む。
「申し訳ない! 決してわざとじゃないんだ、許してくれ!」
雅貴くんがすごい速さで土下座してきた。しかし、
「……ふはっ、ふふ、雅貴くん、手にっ……手にみかんの皮ついてる……っ」
これから稽古でも始めるのかってくらい綺麗な土下座を見せた雅貴くんだったが、その手にはさっきまで剥いていたみかんの皮がついたままだった。
イケメンがみかんの皮持って土下座してる絵面がおもしろすぎて、なんか急激にどうでもよくなってしまった。
「俺は真面目に謝ってるんだが……」
「ご、ごめん……ふふっ、もういいや、気にしてない」
「俺が言うのもなんだが、もう少し気にした方がいいと思うぞ」
「だって、わざとじゃないんでしょ? じゃあもういいよ」
「お前がいいならいいけどさ」
それから私たちはこたつに入り直して、みかんを食べ始めた。
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作者名:三宮 | 作者ホームページ:https://alicex.jp/riiiiidoooosog7/
作成日時:2023年4月1日 21時