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結局、一度も弓を引けないまま合宿初日を終えた下僕たち。
その分私たちはいつもより矢数をかけることができて、合宿を満喫していた……というわけでもなく。
「たくさん練習できるのはいいけど、なんだかなぁ……」
女子4人で湯船に浸かって話していると、話題はやはりそのことになる。
「合宿だというのに、弓を持たせてもらえないなんて、コーチは一体どういうおつもりなんでしょう?」
「Aはコーチから何か聞いてたの?」
ゆうなと乃愛の言葉に頷いた妹尾は、こちらを向いた。
「え? 何も聞いてないよ」
まさかグルだと思われてる……? 私もさすがにあそこまで徹底して下僕労働をさせるとは思っていなかった。
「じゃあ、小野木に対して言っていたのは本心なんだ」
「海斗に……って、あれは雅貴くんが追い打ちかけてほしそうだったから。まあ、半分くらいは本気だけど」
今の扱いに納得できないのはわかるけど、その条件の勝負に乗ったのは自分たちなわけだし。なんて、これは勝った側だから言えることか。
ていうか、私は立ち順決めただけで試合には直接参加していないから、あんまり口出しできない立場なんだけど……。
「雅貴くんのことだし、何か企んでるんだよ、多分」
「ですから、その企みに乗っていいのかどうかが、わからないんですわ」
乃愛はツンと口を尖らせた。かわいい。
「ていうか、ずっと聞きたかったんだけど……Aって滝川コーチとどういう関係なの?」
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作者名:三宮 | 作者ホームページ:https://alicex.jp/riiiiidoooosog7/
作成日時:2023年4月1日 21時