やっぱりお前だったんだな。 ページ6
俺side
国木田を除いた俺達3人は、
夜の倉庫街の倉庫の中にいる。
夜の闇の中、白い月がとても綺麗に浮かんでいる。
月を眺めながらぼーっとしていると、
敦の悲しそうな声が耳に入ってきた。
「…こんな奴がどこで野垂れ死んだって、いや、
いっそ喰われて死んだ方が…」
聞き捨てならない台詞だ。
俺は、死を操る異能力を隠し持っているし、
秘密のうちに使ったりもしていたから、
普通の警察官よりも、ずっと多くの死を知っている。
だから。
『駄目だ。』
「葉月さん?」
『そんな風に自分の事を卑下したら駄目だ、敦。
この世に、生きていて駄目な人間なんて居ない。
生きる事を諦めて良い人間なんて居ない。
生まれて来た事を否定されて良い人間も存在しない。
…存在しちゃいけない。
俺はそれを知ってる。
俺は、敦や太宰が死んだら悲しむぞ。』
「…!葉月くん…」
「ッ葉月さん…グス」
『す、すまない敦。』
「葉月さんは、ッ悪くないですよ、ただ、僕の事を、ヒックそんな風にッ、言ってくれるのが嬉しかったんです…。」
両目から透明な涙をこぼす敦。
俺は、そっと背中をさすってやった。
しばらくして。
『落ち着いたか?』
「は、はい。すみません、思い切り泣いてしまって…!」
『気にするな、大丈夫だ。』
ガタン
「ビクッ今……そこで物音が!」
『落ち着け敦。虎は倉庫には住んでない。』
「その通り。
…そもそも変なんだよ敦くん。
君もそう思っただろう?葉月くん。」
『…まあ、な。例えば…営業不振になった孤児院から、何故、敦だけが追い出されたのか、とか。』
「そう。普通なら、半分くらいを他所に移すのが筋だ。」
『…お前がこの街に来たのが2週間前。』
「虎がこの街に来たのも2週間前。」
『そして、お前が鶴見川べりに居たのが4日前。』
「同じ場所で虎が目撃されたのも4日前。」
敦の体が変化していく。
「国木田君が言っていただろう、武装探偵社は、異能の力を持つ輩の寄り合いだと。巷間では知られていないがこの世には異能の者が少なからず居る。
その力で成功する者も居れば、
力を制御できず、身を滅ぼす者も居る。」
『恐らく、施設の人達は虎の正体を知っていながら、
お前には教えなかったんだ。』
「君だけが解っていなかったのだよ。
君も《異能の者》だ。
現身に飢獣を降ろす、月下の能力者…」
白虎が吼えた。
ラッキーカラー
あずきいろ
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ミカン酢 - コメントお待ちしてます!出来れば評価もよろしくお願いします^ ^ (2022年1月11日 23時) (レス) id: 2555c2f634 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミカン酢 | 作成日時:2022年1月7日 6時