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「Aは俺がAのことどう思ってんのか気付いてるんやろ」
今まで見たことがないくらいに苦しそうな表情の大吾から放たれた言葉に、殴られたような衝撃を受けた。
そうやった。
その一言で、思い出す。
大吾から感じる好意を、私は見て見ぬフリでやり過ごしてきてたことを。
『…や、それは…、！』
口を衝いて出たのは否定の言葉。
咄嗟に出てしまったものの、返す言葉なんか持ち合わせてなかったし、返す資格も私にはない。
言葉が詰まって出てこずに、ただただ床を見つめていたら、肩を押されて変わる視界。
私の視界が捉えたのは大吾と、天井で。
大吾と、正門と、私と。
3人でいるときの心地良さとか、関係性を壊したくないっていう私の勝手な思いだけで、気付かないフリを続けてきて。
そのフリを続けていくうちに、見えなくなっていた大吾の気持ち。
目の前の大吾が今、こうなっているのは、他の誰でもない、私のせいだった。
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作者名：ピッコ | 作成日時：2020年5月9日 17時
