もしもし、もしも (ページ15)

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「Aさん、これあげます」

4人で遊びに行ってから、初めて被った恭平とのシフト。

人手が多かったから、運良く2人で休憩に入れることになって。

バックヤードに入って椅子に座るなり差し出されたコンビニの袋。

中を覗いてみたら、入っていたのは期間限定と大きく書かれたイチゴのチョコレート菓子。

「姉ちゃんが美味いって言ってたんで、美味いんやと思います。俺食ってへんから分からんけど、まあ不味かったら捨ててください」

なんとも恭平らしい言葉と共に差し出されたそれを受け取ったはいいものの。

どういう経緯で恭平が私にお菓子をくれたのか、疑問に感じて聞いてみると、返ってきたのはまさかの答え。

「この前アイス奢ってもらったから、それのお返しっす」

『や、あのときはAが負けたからアイス買ったんやで？だからお返しなんかいらんって』

「いいんすよ、なんかあの後何となく気になってたんで。イケメンの気持ちってことで受け取っといてください」

その後も、えー、でも、なんて渋る私と、わざとらしく耳を塞いでそんな私の声が聞こえないフリをする恭平。

見かねた恭平が、私の手からコンビニ袋を取り上げて、高く持ち上げる。

「いらんのですか？めっちゃ美味いのに？超美味いのになー？」

『恭平食べてないんやろ』

「大正解っすね、はなまる」

顔をくしゃくしゃにして笑いながらそう言った恭平は、コンビニ袋を私のカバンの中に突っ込んだ。

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