狗巻くんが大好きな女の子のお話 (ページ37)

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真希曰く、お見合いは明日。先週の日曜には分かってたらしい。
その日は確か……ごじょせんに絡まれた日…？ってことは、あの時狗巻くんにその話をしに…？

『……お見合い、か』

そりゃ、そうか。狗巻家の人間だもん。お見合いくらいあるよね。次期当主なんて言われてるらしいし。

価値も地位も低い私なんかより、ちゃんとした女性と結婚した方が絶対いいよ。今更だよね、ほんと。

……あぁ、だから〝ごめん〟なんだろうな。

……狗巻くんに言おう。どうしたらいいか悩んでるんだ。私なんて気にしなくていいって言いに行こう。

そう思い、男子寮に足を進めた。

＊

『狗巻くーん』

ドアをノックするが反応がない。
……留守、では無いと思うんだよな。

『……狗巻くん、いるんでしょ？
真希とパンダからきいたよ、お見合いの話。ごめんね、2人のことは責めないでね。私のことを見兼ねた2人が教えてくれたの。』

微かに部屋から音がした。ほら、やっぱりいる。

『…お見合いの件、行ってきなよ。
私より絶対いい人だろうからさ。』

その時ゆっくり扉が開き、思いっきり抱きしめられた。

狗巻「……おかか……」

『そんなことないって…？あるよ、狗巻くん。
今後のことを考えたら、絶対お見合いした方がいいって。』

狗巻「………こんぶ、明太子？」

『…っ、……そうした方が、狗巻くんが幸せになるから、』

Aはそれでいいのかって、良くないに決まってんじゃん。本当は、嫌だよ。誰か知らない相手と狗巻くんが結婚するなんて。
…………良くない、嫌だ。って言ったら、狗巻くん困るでしょ？
困らせることなんて、したくないよ。