あの日の夏に戻れるのならば (ページ8)

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あの夏.08 ページ8

天喰環side

告白にOKをしてしまった俺は、初めは後悔をした。

こんな曖昧な気持ちでいいのか、と。

恋人同士になった、毒止さんとは一緒にいることが多くなった。
休み時間とか、移動教室の時とか、放課後とか。

嫌でなかったが、周りの視線が凄く気になった。

毒止さんは、何かと目立つタイプだ。

A｢ねえねえ、天喰くん。
付き合って、1ヶ月経つしそろそろ名前で呼んでよ！｣

『えっ……………………』

A｢そんな顔しなくても…………
もちろん、嫌ならいいんだけどねっ！｣

毒止さんは、こんな対応にも嫌な顔一つしない。

嫌なわけではないが、俺が名前なんかで呼んでいいのだろうか……
名前で呼ぶのなんて、ミリオくらいだし……

天喰｢…………そう、じゃない、けど…………………………もう少し待って………………ちゃんと、呼べるように……なる……｣

『！ほんと！？楽しみにしてるっ！』

そう微笑んだ毒止さんは、嬉しそうだった。

＊＊＊

｢え？名前で呼ぶ方法？｣

『…………ミリオ、名前で呼んでるだろ………』

通形｢まぁね。
Aからしたらライバル同士って意味で名前で呼びあってるけど、環くんはそうじゃないからね～｣

『……？』

通形｢やっぱり好きな人には名前で呼ばれたいんじゃないかな？｣

『？じゃぁ、ミリオのことも………』

通形｢ライバル関係だからだって。
まぁ、俺からしたらAの方が何枚も上手だけどね｣

『…………』

通形｢まぁ、ゆっくりでいいと思うよ！
俺からしたら、早く呼んであげて欲しいけどね！｣

どっちだよ………

『…………また、毒止さんのこと聞いてもいいか？』

通形｢うーーん。そういうのは、徐々に知っていくものじゃないかな？｣

徐々にか…………

通形｢……あ、ほら。A来たよ｣

『…………』

A｢ミリオー！天喰くーん！｣

通形｢Aは、環って呼ばないのかい？｣

A｢わお唐突だね！？｣

ミリオ達は、名前で呼んでるもんな………これじゃあどっちと付き合ってんのか分かんないな……

A｢呼びたいけど、いいのかなって…………｣

通形｢付き合ってるんだからいいと思うよ！｣

『み、ミリオ…』

A｢そ、そうだよね……！
じゃ、じゃあ……

環くん｣

顔を赤くして名前を呼んだ毒止さんのことを、可愛いと思った瞬間だった