黄緑な世界 黄×緑 ページ5
「ゆうだい。」
呼ばれて振り向くと、チョイチョイっと小さく手招きされた。
「なに?」
「口開けて。」
「なんで?」
「いいから。」
ニコニコした表情を崩さないひろ。
基本俺はこいつに勝てないのでおとなしく従うことにする。
「ん。」
「えい。」
開いた口に放り込まれたのは、
「チョコ?」
「せいかーい。」
「なんで?」
「ホワイトデー近いで。」
何がそんなに楽しいのか、小さく笑い声をこぼしながら真っ直ぐ見つめられる。
「ホワイトデーで良くない?なんで今日…」
「うーん…なんとなく?」
こてん、と首を傾げて笑う。
(完全に思いつきやな…)
「あっそ…」
用は済んだとばかりにひろが目をそらす。
向かう先は小説。
(呼びつけといて何なん…)
ひろにふり回されっぱなしで終わるのは少し悔しくて、せめてもの抵抗としてひろが読んでいる小説に手を伸ばす。
ページのはしを軽くつまんでひく。
ただそれだけの抵抗。
それだけなのにどうして彼にはわかってしまうのか。
ふ、と笑って本をおき、ページを掴んでいた手を捕まえられる。
あやすように手を揺らしながらひろが俺を抱きしめる。
立つと少しだけ俺より低い背。
長めに伸ばしてヘアバンドで止めた染めたての髪。
どんなときも的確に手を差し伸べてくれる回転の早い頭。
その全てが俺を包んで溺れさせる。
「…好き」
息をする代わりに出た告白を聞いて、ひろが可笑しそうに笑う。
「俺も、愛してる。」
ぎゅ、と腕の力が強まった。
(あー、好きだな)
すっかり機嫌は治ってしまった。
見事に転がされてるなあ、なんて。
でも全く悔しくない。
(惚れ込んどるなあ…)
ひろに振り回されるこの絶妙なバランスは、きっとこれからも。
君と僕の黄緑な世界。
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Yukaringo - リリィさん?、頑張って更新してほしいです! それとも…もう終わっちゃった? (2020年10月30日 23時) (レス) id: 920c522ffa (このIDを非表示/違反報告)
ごまわさび(プロフ) - リリィさん» シチュエーション思い付いたので、リクエストです!ゆうだいさんが猫化(猫耳+しっぽ)しちゃって、萌えたひろさんが、デレデレに甘やかしちゃうヤツお願いします! (2020年3月15日 0時) (レス) id: 451fe10216 (このIDを非表示/違反報告)
ごまわさび(プロフ) - リリィさん» ありがとうございます! 待ってます!(*´ω`*) (2020年3月13日 0時) (レス) id: 451fe10216 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - ごまわさびさん» リクエストありがとうございました。喜んでいただけてよかったです。シチュエーション思いついたらまた書いてみますね。 (2020年3月12日 19時) (レス) id: f205111617 (このIDを非表示/違反報告)
ごまわさび(プロフ) - 相変わらずの語彙力の無さなのですが、すっごいきゅんきゅんしてしまいました( 〃▽〃) ひろさんカッコいいし、ゆうだいさんかわいいし、 もう神です!! これからも定期的に書いてもらえないでしょうか? 本当に良かったです! (2020年3月12日 15時) (レス) id: 451fe10216 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリィ | 作成日時:2020年3月12日 0時