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午後六時、明日は仕事だからと告げると早めに帰った方がいいね〜とへらり笑った三角くんは私の手を引いて家まで送ってくれた。
私の家から駅までは割と近い……けど治安はそんなに良くないから心配だ。
変なおじさんについていっちゃダメだよ、とふざけて冗談をいえばムッとしたのか大丈夫だよ〜と、口を尖らせていた
……君、ほんとかわいいな。
家の前までつくと、絡んでいた指同士がゆっくりと解けていく
……もう、今日は終わり…か。
「ありがとね、三角くん。楽しかった」
「……うん、おれも楽しかった」
少し寂しそうに眉を下げながらニパッと笑う三角くん
ゆっくり指が解けていくにつれてその顔はどんどんと曇っていく
遂に解けきると俯いてだんまり。
「み、みすみくん?」
声をかけても無反応……
私が家に入れば帰るのかな、そう思った私は
「ばいばい、三角くん」と言葉を残し身を翻し背を向けて一歩前に出た時
「……っ、ま…って」
パシッと掴まれた手首
優しく包み込むように、私がいつでも振り解けるくらい弱く握られた手首
私が振り払わないと知っての行動なのだろうか
「……次、の…公演」
「うん」
「楽しみにしてて、おれ…たくさん頑張るから」
「……うん、楽しみにしてる」
「…そ、れで…もっとAに、おれのこと好きになってもらうの」
「っえ、」
なに、それ。
急いで振り返ると右斜め下を向いた彼の顔と、垂れた髪から覗く耳が真っ赤で。
遠慮がちに離された手首が、まだ彼に触れていたいと叫ぶ。
しかしそれは無理な願いで、手首が離された途端ばっと顔を上げた三角くんは「じゃあねっ!ばいばい!」と物凄い速さで駆けていく
段々小さくなる背中に、呆然と小さくばいばい。
……やば、かった。
色んな意味で、やばかった。
私、「このまま家寄っていく?」って言いそうだった。
なにを、…する気だったのか、私は。
狡い男だ、三角くん。
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しゃむ月(プロフ) - 姫華。さん» ありがとうございます嬉しいです(´;ω;`)より可愛く書けるように頑張りますね! (2017年9月24日 9時) (レス) id: 39bda5c8f7 (このIDを非表示/違反報告)
姫華。(プロフ) - もうやばいです…結構前からお気に入り追加して読みに来ていましたが、なんかもうしんどいです…みすみくん……可愛くて格好良いですみすみくん…!! (2017年9月18日 22時) (レス) id: 86593d42b4 (このIDを非表示/違反報告)
しゃむ月(プロフ) - みずきさん» ハァドッコイ!みずきさん、新しい心臓ですよ!(´・ω・)つ(心臓)忙しくても更新すべきである立場なのに自分が情ねえです(;;)地球3周?!なら私は五週だ(謎の張り合い)暖かいコメントありがとうございます(´∇`) (2017年9月15日 17時) (レス) id: 39bda5c8f7 (このIDを非表示/違反報告)
しゃむ月(プロフ) - 聖さん» はじめまして(:3_ヽ)_お気に入りの一つに入っているとは(; ・`д・´)恐縮です(;;)皆様を待たせないよう、更新頑張りますね! (2017年9月15日 17時) (レス) id: 39bda5c8f7 (このIDを非表示/違反報告)
しゃむ月(プロフ) - 椏優舞さん» 三角の小説少なすぎますよね(号泣)感無量です(´・ω・`)お褒めのお言葉の嵐……ありがとうございます(:3_ヽ)_ (2017年9月15日 17時) (レス) id: 39bda5c8f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃむ月 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年7月30日 18時