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「誰かに褒められた記憶がないんだ」
「え、」
「誰かに優しく触れられた記憶がないんだ」
「……っ」
「だからAの温かさが、嬉しかった」
「そう……喜んでもらえたんなら私も嬉しい」
首筋に添えた指に手を重ね微笑むA。
伝わる温かさに冷たい心が優しく溶けて解れる。
「記憶がないって話、眠りながら話してたからたちの悪い寝言かと思ってたけど、本当だったのね」
「……ああ。そもそも
宛もなく飛び続けていたのは理由探し。失った記憶の欠片探し。
「一人でずっと探していたの？仲間とか、いないの？」
「……いない、と思う。それすら憶えてない」
「そう……。堕天使の仲間が一人で見つかればいいのにね」
天使でも、人間でもない。黒き有翼の人型。
逃げているのか、追っているのかまるで思い出せない。
「あのね？ホソク、提案があるんだけど……」
「提案？」
「うん、あのね？うちで良ければ、もう少し……休んでかない？」
「っ……」
名前と堕天使という記憶以外の素性や過去の記憶がない。
思い出一つ残されていない。
「迷惑じゃ、ないのか？」
「翼に触らせてくれたお礼。もう追い出したりしないから、ここで少しでも体と心が休まるなら好きなだけ居ていいよ？」
「A……」
「その代わり、ベッド……私が使うけどね？」
「……ふっ！」
休まる事は死ぬ事と、羽ばたく事すらも諦めかけた。
「疲れたね、今だけでも羽を休めて」
「……っ」
空っぽの俺を抱きしめるこの温かさに命を救われた。
闇夜色の翼の中にいる、安息を与えるぬくもり。
優しい木漏れ日のようなあたたかな微笑み。
飛びたいと思わせてくれた、生きたいと思わせてくれた朝日のような君。
記憶が戻らなくても思い出がなくても、彼女といれば新しい記憶が刻まれ、新しい思い出ができるだろう。
もしかしたら、逃げていたのでも追っていたのでもなく、これを探していたのかも知れない。
これが俺が探しているものなのかも知れない。
生まれ変わったつもりで彼女のそばに居てみるのも悪くない。
「ありが……とう」
少しの間だけ……甘えさせてもらってもいいかな？
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あがしおん(プロフ) - 花帆さん» コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてよかったです♪吸血鬼番外編の続き、鋭意制作中です。ボチボチゆるっとのんびりお待ち下さいね☆ (2021年7月6日 7時) (
レス) id: 858700461f (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 吸血鬼ジミンの番外編を拝読できて、すごくうれしい&面白いです！！ぜひこの続きも拝読できるとうれしいですヽ(*≧ω≦)ﾉ これからも応援しております♪ (2021年7月6日 6時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - みほんぬさん» みほんぬさんありがとうございまーーーす！1年ぶりののユンギ主任でしたっ！どうぞ引き続き他の作品もお楽しみくださいっ (2020年3月12日 13時) (レス) id: e1b87f381c (このIDを非表示/違反報告)
みほんぬ(プロフ) - ユンギさーん！あがしおんさん！星！星ー！押しまくりたいのに…既に…といわれてできないー！また楽しみに待ちます！いつもありがとうございます！他も見てます！また他の作品も繰り返し読んできます！ (2020年3月12日 12時) (レス) id: 9284a0a7c9 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - 未緒さん» んぉぉ……！そう言っていただけてありがたいです〜！ (2020年3月9日 22時) (レス) id: e1b87f381c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2020年2月18日 1時
