・約束 ページ40
You side
「……Aちゃん、よくジミニのそばにいる覚悟を決めてくれたね。ろくでもない父親だけど、それでも親としてとても感謝してるよ」
「覚悟だなんてそんな、大袈裟です。私もジミンさんと一緒にいたいって思っていたからとっても嬉しかったんですから」
「そっか……。ジミニを受け入れてくれてありがとう。これでやっと妻との約束が一つ果たせそうだ」
「約束？」
「うん、彼女に頼まれたんだ。『お父さん』してあげてって」
ほんの少しだったけれど、ソクジンさんと奥様の馴れ初めを聞かせてもらった。
病床に伏せてしまった奥様との約束を叶えるために彼なりに努力をされていたと聞いて、ジミンさんがソクジンさんを随分嫌っていたあの頃を思い出し、そして二人の関係が良くなっている今を思い返して涙が出そうになった。
「それに、あいつにはもっとちゃんと母親の話を聞かせてあげたいんだ。
……そして今も伝えられずにいる事も話さなきゃならない」
「ソクジンさん、まだなにか隠し事をなさってるんですか？」
ソクジンさんは一瞬目を見開いて苦笑いを浮かべた。
「隠し事……。そうだね、それは僕の一番みっともない姿だから今だってあいつに知られたくない。
知ればきっと軽蔑されるだろうし、また親子関係が危機に陥るかも」
「それでも口伝えなくちゃならない大切な事なんだ。
初めて伴侶を迎えるジミニが、覚悟を持ってこれからを生きていくための大事な話。
この話は私達がヴァンパイアであることの再確認と、人間と共存するに当たって我らが人間の刹那の生を重んじなければならない、という訓戒でもある」
「訓戒……」
それはとても重々しく響いた言葉。
悲しげで苦しげな表情を滲ませたソクジンさんの顔を、私は直視できずに目を伏せた。
そんな私の頭を優しく撫でるソクジンさんが声を明るくして話を続けた。
「その話はこれからのジミニにとって大切な心構えみたいなものだから、君が難しい顔をしなくても大丈夫！
テヒョンイもユンギも乗り越えたんだ、僕もジミニも頑張らなきゃ……」
正面の壇を美しく飾るステンドグラスを見つめたソクジンさんの表情は、覚悟を決めたように凛々しかった。
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あがしおん(プロフ) - 花帆さん» コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてよかったです♪吸血鬼番外編の続き、鋭意制作中です。ボチボチゆるっとのんびりお待ち下さいね☆ (2021年7月6日 7時) (
レス) id: 858700461f (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 吸血鬼ジミンの番外編を拝読できて、すごくうれしい&面白いです！！ぜひこの続きも拝読できるとうれしいですヽ(*≧ω≦)ﾉ これからも応援しております♪ (2021年7月6日 6時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - みほんぬさん» みほんぬさんありがとうございまーーーす！1年ぶりののユンギ主任でしたっ！どうぞ引き続き他の作品もお楽しみくださいっ (2020年3月12日 13時) (レス) id: e1b87f381c (このIDを非表示/違反報告)
みほんぬ(プロフ) - ユンギさーん！あがしおんさん！星！星ー！押しまくりたいのに…既に…といわれてできないー！また楽しみに待ちます！いつもありがとうございます！他も見てます！また他の作品も繰り返し読んできます！ (2020年3月12日 12時) (レス) id: 9284a0a7c9 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - 未緒さん» んぉぉ……！そう言っていただけてありがたいです〜！ (2020年3月9日 22時) (レス) id: e1b87f381c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2020年2月18日 1時
