虹色の小瓶《短編集 3》

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風呂上がりの火照った体を冷まそうと水を求めて冷蔵庫までやってきたら、バルコニーの窓を仕切るカーテンが揺れているのに気づいた。
開けっ放しにしていたかな？そう思って窓に近づいたら、Aがガーデンチェアで涼んでいるのを見つけた。

「A、湯冷めしちゃうよ？」
「あ、もう上がったの？」

僕の声に振り返った彼女がにこやかに微笑む。
手招きで呼ばれた僕は隣のガーデンチェアに腰掛ける。するとAは早速反対側の暗闇に頭を突っ込んで、何やらゴソゴソし始めた。

「誕生日ケーキをお願いしても良かったんだけどね？持って来やすいものにしたくて」

高いものじゃないけど。と前置きして何かを取り出して小さなテーブルに置いた。


それは二人で飲み切るには丁度いいサイズのワインボトル。グラスは予めオーナーの奥様にお願いして貸してもらっていたらしい。
こんな物、いつの間に準備していたんだろう……、全然気づかなかった。


乾杯をすると軽やかな音を鳴らしたワイングラス。

まずは香りを楽しみ、一口を喉へと送り込んだ。




夜空を見上げながら二人で楽しむナイトキャップ。

今日はAに驚かされっぱなしの一日だった。


「……A、」
「うん？」


感謝の気持ちを表せる物はないけれど、言葉ならいつでもどこででも伝えられる。


「ありがとう」

「ふふふ！どういたしまして。喜んでもらえて嬉しい」

「Aが僕の彼女でいてくれて、愛してくれて、僕は本当に幸せだよ」


お酒と照れでぽっと紅く染まる彼女の頬。



熱を帯びる頬にそっと手を添え、唇で直接その熱を感じた。




Calm day 〜END〜

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