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朝から電話のコール音と誰かの応対する声、キーボードを叩く音が聞こえる社内。
俺もモニターを見つめながらデータ処理をしている。
明日までに提示する取引先のプランニングの資料仕上げに追われ、今日は大わらわだ。
誰かが立ち上がったのが視界に入った。
いつもなら気にしないが、今日は何故か気になって視線を向けた。立ち上がった社員がいたその方向には、デスクで業務に集中している彼女がいた。
(今朝は会わなかったな……)
まあ、朝のラッシュで彼女を見かけられたら、偶然では済まなかったかも。
先日の偶然でまた少し彼女の事が気になり、思い出したように考える事が増えた気がした。
今日も帰宅ラッシュで揉みに揉まれて乗り込んだ車両。
イヤホンの音量を上げ、お気に入りのプレイリストをランダム再生で聞き流しながら、車窓の景色をぼんやり眺める。
いつものカーブでクラっと揺られ……
トン、と誰かがぶつかる。
そちらに目を落とすと、真っ赤な顔で涙目のAさんがいた。
え……？なんで泣きそうな顔……？
Aさんは俺と目が合って一瞬、背後を気にするように視線を向けて俯く。
まさか……とは思いたくないけど。
もしそうだったとして。こんな息苦しい程の人の多さじゃ元凶を見つけられそうもない。
イヤホンの片方を外し、
「あの、こっちに」
車体の揺れに体を持っていかれないように踏ん張る彼女の腕を引き、俺とドアの隙間に押し込んだ。
車体がカーブで傾き、俺は体を支えようとすぐさまドアに手を突いた。俺に背を向けていた彼女がビクッとして小さくなる。
ずっと下を向いたままの彼女に小声で呼び掛けた。
「大丈夫ですか？」
「大丈夫、です、ありがとう……ございます」
俯いて震えている様に見える背中は全然大丈夫には見えなくて、とりあえずこの場から彼女を遠ざけてやりたいと思った俺は、もう一度小声で話しかけた。
「……Aさん、次で降りましょう」
彼女は黙って頷いた。
俺達は次の駅に降り、近くのベンチにAさんを座らせ、小さいサイズのペットボトルを買って差し出した。
ありがとうございます。と遠慮がちに受け取り、両手で包み込んだ。
それを見届けた俺は一人分のスペースを空け、静かに隣に腰を下ろす。
こちらから声を掛けた方がいいのか、それとも彼女から語られるのを待つか。
額にペットボトルを押し付け、肩を震わせるAさんが落ち着くまで、静かに座っていた。
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あがしおん(プロフ) - miyaさん» いつもコメントありがとうございます！ジンくんはほんわかあったかい感じがよく似合いますよね！気に入っていただけてよかったです！ (2019年12月7日 14時) (
レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - 大好きなジンくんのお話ありがとうございます(≧▽≦)そうこのゆったりとした空気感が大好きなんです！寒くても、ジンくんの周りは温かいですね( 〃▽〃) (2019年12月7日 13時) (レス) id: 6284949262 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» 私も国語の授業は漫画本隠し読みしてた類の人間ですよ！でも、お気に召していただけて何よりです〜♪ (2019年10月14日 1時) (レス) id: d4473d8198 (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - あがしおんさんの愛情いっぱいの言葉、大好きです(T△T)あぁ、本当に国語の授業寝ていた自分が恨めしい。。。。 (2019年10月14日 0時) (レス) id: 6284949262 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» miyaさん、コメントありがとうございます。作者も泣いております。近頃は涙腺がユルユルで……。 (2019年10月14日 0時) (レス) id: d4473d8198 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2019年8月22日 8時
