吸魂鬼のキス02 ページ28
湖に近付くにつれて、キャンキャンと犬の鳴き声が聞こえてきた。しかしその声は苦痛に満ちていて、次第に弱くなっていく……。
「シリウス……！」
深い闇の中、次第に寒気を感じながらも一心不乱に駆けると、ピタリと犬の鳴き声が止んだ。
湖の畔に辿り着いた時、それが何故なのかを二人は目撃した。
シリウスは人の姿に戻り、頭を抱え蹲っていた。
「シリウス、大丈夫！？」
「ハリー、その前に杖を構えて……」
シリウスに駆けつけるハリーに、セレナは顔を少し青ざめながらじりじりと二人に近づいた。
月明かりが湖を照らし、反射してようやく分かった……。
暗闇だと思っていたのは全て吸魂鬼だったこと、それが三人を囲むように蠢いていること、そしてその数が百もあるということ……。
「『エクスペクト・パトローナム』！」
杖先から銀の光が放たれる。しかし、吸魂鬼の数は多くセレナとハリーだけでは対処しきれない。
「『エクスペクト・パトローナム』『エクスペクト・パトローナム』」
何度も唱えているうちに、シリウスが横に倒れた。
死人のような蒼白い顔で、一つも動かなくなった。
「『エクスペクト・パトローナム』」
次はハリーが片膝をついて頭を押えた。
以前話してくれた女性の悲鳴がするのだろう。その声を振り消すように大声を発して呪文を唱えるが、それも時間の問題だった。
もう三メートルと離れていない。
迫り来る恐怖を打ち砕くよう何度も呪文を唱えていると、今度はセレナが力尽きたように崩れ落ちた。
魔力が尽きた……。
ポシェットの中をまさぐり薬を探すも見つからず、目の前には覗き込むように吸魂鬼の顔が映った。
その虚ろな眼窩とかさぶたのような肌をさらけ出し、べっとりとした両腕がセレナの首へと巻きつく。
ハリーの微かな呻き声に、きっと同じように首に巻き付かれているのだろうと思いながら、セレナの虚ろになる青い目から涙がこぼれた。
守れなかった。護れなかった。
母の願いも、シリウスの希望も、ハリーの思いも……。
ああ……やっと会えたのに…………。
薄れゆく景色の中、闇の中で一筋の光が見えた気がした。
その光は次第に明るくなり、二つに分かれると目も眩むような光が辺り一面に広がった。
自身の身体がうつ伏せに倒れたのを感じると、向かい合うようにハリーの顔があった。
ハリーもセレナもお互い震える手を伸ばし、手を繋いだ。
その手は冷えきっていつもの温かさは無かったが、力が少し湧いた気がする……。
残った力で顔を持ち上げると、湖を疾駆する動物を見た。
銀色に輝くその姿は向こう岸で止まり、誰かがそれらを迎えていたのが見え……意識が消えた。
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ルーエ(プロフ) - レンさん» 早速読ませて頂きました！全然解釈違いなんかじゃありません！！とても楽しめました！ずっとずっと応援させて頂きます！！ (1月24日 23時) (
レス) id: 69c4e7e541 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - ルーエさん» ルーエさん、遅くなりましたがリク小説出来ました！だいぶ解釈違いで申し訳ないですが、お楽しみ頂けたらと思います！これからも応援よろしくお願いします！ (1月24日 23時) (レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
ルーエ(プロフ) - 返信遅くなってしまいごめんなさい！！リクエスト快諾本当にありがとうございます！！これからもレンさんの作品を読み続けたいと思います！ (12月31日 0時) (レス) id: 69c4e7e541 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - ルーエさん» ルーエさん、コメント＆リクありがとうございます！私の方こそ解釈違いになるかもしれませんし遅くなると思いますが、是非とも書かせて頂きます！読んでいただいてる方々に喜んでいただけるような作品を作れるように頑張ります！ (12月30日 23時) (レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
ルーエ(プロフ) - リクエストなのですが、番外編として独占欲が強いハリーとの恋愛描写を読みたいなと考えておりまして……。ご検討お願いします。初コメントなのに厚かましくて申し訳ありません！！解釈違いや書くのが嫌であれば全然無視してもらっても構いません！ (12月29日 22時) (レス) @page50 id: 69c4e7e541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レン | 作成日時：2023年10月18日 20時
