ボーバトンとダームストラング04 ページ26
十月三十日の朝、朝食を食べに大広間に向かうと、既に飾り付けが済んでおり、壁には各寮を示す巨大な絹の垂れ幕が掛けられている。
教職員側には、本校の紋章が記された垂れ幕が飾られており、セレナは身が引き締まる感じがした。
しかし、その気持ちも時が経つにつれ少しづつ消えていき、ボーバトンとダームストラングの来訪の時間がさし迫る本日最後の授業である魔法薬学の時間には、誰もが落ち着きを無くしていた。
早めに鳴った終業のベルが校内に響くと、我先にと生徒たちは寮に戻り、教科書と鞄を放り込んでは、マントを片手に玄関ホールへと駆けつけた。
各寮の寮監が来た生徒を順に整列させ、身だしなみをチェックし始めた。
「ウィーズリー、帽子が曲がっています……Msパチル、髪についてるバカげたものをお取りなさい」
パチルは顔を顰めて、三つ編みの先に着けた大きな蝶飾りをとった。
チェックが終わると、一年生から順に城の前に整列した。
セレナはハリーとハーマイオニーの間に並んで空を見上げると、空は夕闇が迫り、禁じられた森の上から青白く透き通るような月が輝き始めていた。
「もうすぐ六時だ。一体、何で来るんだろ？」
「汽車？」
「きっと違うわ」
「そうね。向こうも威厳を見せたいだろうし……」
その時、ダンブルドアが先生方の並んだ最後列から声を上げた。
生徒たちは点でバラバラな方向を見ながら熱い声をあげると、一人の生徒が「あそこだ！」と空の一点を指差し声を上げた。
そこには濃紺の空に大きな黒い影を生し、徐々にこちらに迫ってきていた。
ドラゴンか……空飛ぶ家か……、様々な憶測が飛び交う中、城の窓明かりがその影を捉えた。
巨大な、パステルブルーの馬車が姿を現した。
大きな館ほどの馬車が十二頭の天馬に引かれて、こちらに飛んでくる。その天馬も金銀に輝くパロミノ馬でそれぞれが象ほど大きい。
馬車が徐々に高度を下げるのが見え前列の生徒が引き下がると、その間にドーンと激しい音を立てて着陸した。
馬車の扉には金色の杖が交差し、それぞれの杖から三個の星が飛んでいる紋章が記されており、セレナはその馬車が『ボーバトン』の物だと気付いた。
淡い水色のローブを着た少年が馬車から飛び降り、前かがみになって馬車の底をゴソゴソいじると、金色の踏み台を取り出した。
少年が恭しく身を引くと、馬車の中から子供のソリほどの大きな黒いハイヒールが片方現れた。
セレナが呆気に取られていると、その主が姿を現した。
ハグリッドと同じくらいの背丈を持つ大きな女性だった。
ボーバトンとダームストラング05→←ボーバトンとダームストラング03
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 103人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れい - 『ハリーポッターと終末の子 11』お疲れ様でした！空いた時間があれば「これ読むか！」となるぐらい大好きで、マジでいつも読んでいます！コメントしすぎでウザかったら、本当にごめんなさい！でもそれぐらい大好きなんです！『終末の子 12』でも、お世話になります！ (4月16日 15時) (
レス) @page50 id: d760ec90d4 (このIDを非表示/違反報告)
Tumu(プロフ) - こちらこそ丁寧に対応していただきありがとうございます！これからも陰ながらですが応援させていただきます！ご自分のペースで無理せず頑張ってください！！（返信ご無用です！） (4月14日 20時) (レス) id: db34b7de60 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - Tumuさん» Tumuさん初コメありがとうございます！こちらのミスでupされてなかったようです。大変申し訳ございません。それと、教えて頂きありがとうございました！またご指摘ありましたら、お気軽にお声掛け頂きたいです！ミスの多い私ですが引き続き応援よろしくお願いします！ (4月14日 13時) (レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
Tumu(プロフ) - コメント失礼します！はじめまして、毎日更新楽しみにしています！私のスマホのバグてかだったら申し訳ないんですけど、｢杖調べ04｣って更新されてますか？？私の画面だと3の後に5なので…もし私の間違いでしたら本当に申し訳ありません！これからも頑張ってください！ (4月13日 15時) (レス) id: db34b7de60 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - れいさん» れいさん、コメ＆ご指摘ありがとうございます！読んで頂いた方に不快な思いをさせてしまいこちらこそ申し訳ございません。自分でもよく分からない間違いに思わず笑ってしまいました笑また見つけたらお気軽にお申し付け下さい！ (4月13日 8時) (レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レン | 作成日時：2024年2月27日 7時
