少しの期待 ページ4
．
「あ、瑠姫くん！また遅く行ってるー！」
朝いつも通り登校してたら自転車に乗って
Aが後ろから来た。
『お、久しぶり。
Aだってぎりぎりじゃん。』
「おはよ。今日は朝練ないからねー。」
『でも朝練あってもAいない時あるやん。』
「えーそうかな。
ってか早く行かないと遅刻する！」
そう言っていつも通り自転車を降りて俺を
前に乗せるA。
Aと一緒に行くのがもう数ヶ月ぶりくらいに感じる。
『A、柔軟剤変わった？』
「多分変わったと思う。親がしてるから
分かんないけど。」
『いい匂いだね。』
「瑠姫くんも、いい匂い。
この匂い好き。」
Aの口から好きという言葉がでてくると
自然と心臓がどくんと鳴るのが分かる。
こんな会話前にもした記憶がある。
蓮が教えてくれたんだっけ。
"いい匂いと感じる異性とは遺伝子レベルで相性がいい"
本当にそんな事があるんだろうか。
拓実と付き合ってるAを後ろに乗せながら考える。
「そういえば前にもこんな話した気がする。」
自転車を漕いでいると何かを思い出したように
そう言うA。
遺伝子レベルの話を覚えているのかなとまた
心臓がどくんと鳴った。
『うん、したよ。』
「やっぱり。何となく覚えてるもん。」
『···遺伝子レベルの話とか。』
「···あ、覚えてる。」
これで少し意識してほしいなんて、拓実と
付き合ってるのに卑怯なやり方だと思う。
でも少しの期待は持ってもいいのかな。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 319人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みみ | 作成日時：2023年8月20日 0時
