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「嘘やってんて、妊娠したって」
1歩ずつ、間を詰めてくる。
これは本当に藤原、だろうか。
そう思わされる感情の読めない声に、私は少し怖くなる。
「昔の男に唆されたらしい、俺の事堕としてこいって」
昔の男が誰を指しているかはすぐに分かった。
あんなに愛しそうに見つめていた彼女のことを、こんなにも淡々と話す。
藤原をこんなにも変えたのは、彼女か、それとも…
ただ、私は、それ以上何も言うことが出来なかった。
「西野？」
「…別れたから、そんなこと言うの…？」
「そういうわけや」
「今まで5年、そんな素振り1度だってしてくれなかったくせに」
「…」
「藤原の言ってるそれは、同情だよ」
恋愛感情、なんかじゃない。
きっと、哀れな同期に対する慰め
「同情なんか出来るやつやったら、とっくにやっとるやろうが。」
真面目な顔してそう言ったと思ったら、今度は眉を下げて申し訳なさそうに口を開く。
「ごめんな西野。
俺、なんで今までお前のこと、選ばんかったんやろな」
「え、」
「俺も好き。」
すっと肩の上に手が置かれ、気がついたら触れるだけのキスを交わしてた。
おやすみ、そう鼻が触れる距離で呟くと、長い間待たせてしまったタクシーに向かって歩き出した。
その見慣れた後ろ姿は、いつもと変わらないのに、ただひとつ、見慣れないのは、彼の耳が真っ赤なことだった。
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めあり - お疲れ様でした！最初から、一気に読んじゃうくらい、魅力的な作品でした！オフィスでの恋愛、めっちゃ好きなので本当に良かったです( ^ω^ ) (2020年6月5日 10時) (
レス) id: 9f77b0a91a (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - お疲れ様でした。この作品が大好きでした。もし可能であれば番外編などでかなお話の続き話や、正門くん視点のお話など読めると嬉しいです。 (2019年5月16日 10時) (レス) id: ff0ba0f30e (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - お疲れ様でした。本当に大好きな作品でした。番外編で正門くん側のお話を読みたいです。謎多き正門くんがいるので何を考えていたのかが知りたいです！ (2019年5月16日 5時) (レス) id: e3e68a9f71 (このIDを非表示/違反報告)
はらへり - お疲れ様でした！最高すぎて何度読み返したことか…(ﾉД`)ありがとうございました。番外編もお願いしたいですし、大橋君のお話があまりないので、ぜひリクエストしたいです。 (2019年5月16日 5時) (レス) id: aacee0baab (このIDを非表示/違反報告)
MOON NIGHT(プロフ) - 正門くん最高でした。わたしは今江くんとの落し物を疲労とかから始まる恋、とかみたいです。あとは、今回の丈くんがめちゃくちゃ好きで…続編で丈くんとか、別でもぜひ丈くんのお話が読みたいです！！ (2019年5月16日 0時) (レス) id: c3ed67355c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆう
| 作成日時：2019年2月21日 17時
