あなたの壊し方-USSS- (ページ29)

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「あの、友達から聞いたんだけど、あの子たちが退学になったって本当なの？」

年も明けて一月。Aと会う約束の日。

また静かなリビングに通されて向き合った時、開口一番に君が聞いてきた。

S「A知ってたん？俺も詳しいことはわからんのやけど、年明けて学校行ったら朝礼で担任から言われてなぁ。なんか家庭の事情で〜みたいな感じやったで」

あぁやっぱり学校で君と話せるのは俺だけやないんやな。

俺だけやないといけないのに。

こんなことを考えてるなんてバレないように。
退学させたのは俺やとバレないように。

何事もないかのように返事をする。

あぁほら、君が安堵の息をほんの少し溢す。険しい顔はまだまだ緩まへんけど。一歩、いや半歩進展ってとこやろか。

S「最近本とか読んでる？」

場の空気を変えるようにそう言えばAの顔が綻ぶ

「読んでるよ、最近はミステリーとか、ちょっと変わってるんだけどグルメの本とか」

Aが楽しそうに話し出す。

あぁ、俺が最初に見つけた顔をしてる。やっぱ好きやなぁ。

誰にも見せへんくていいのに。俺にだけ見してくれればいいのに。

数少ない友達は君のこの顔を知っているんやもんな。

そんなん、おかしいやん。俺だけ知ってればええのに。

今度は君を悲しませてしまうかもしれないけど、でも、しょうがないやんな。

Aが他の子にもこんな顔見せるから。

俺が君の唯一やあらへんから。

大丈夫、誰もいなくなっても俺がAのそばにいるから。