あなたの壊し方-USSS- (ページ26)

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担任に問い詰めそうになるのを堪えて、全部頭に入れるように淡々と説明を聞く。

精神状態が不安定なこと。家庭環境があまり上手くいっていないこと。学校について考えると呼吸が苦しくなったり、ひどい頭痛、腹痛に襲われること。

やから、俺にAの家に定期的に行って欲しいこと。

君が俺やったら大丈夫だと言ったこと。

月に一回、第一月曜日に行くこと。

Aが苦しんでるのに担任が話した内容を思い返して嬉しさが募る。

君の家を知れること。君に寄り添えること。
Aにまた会えること。

また会った時のことを考えてたら、いつもは憂鬱なはずの月曜日がきた。今日は憂鬱やないことに懐かしさを覚える。

放課後、住所を教えてもらいAの家に着く。

思ったよりも立派な家に少々圧倒されながらも呼び鈴を鳴らす。

「はい」
短くて、か細くて、あの頃より弱々しい君の声。やけど、聞き間違えるはずがない、俺が大好きなAの声。

S「センラやけど、覚えてる？」

そう言えば、少し慌てた声のA。

「あ、今開けるね」

そう言って切れたのち、鍵が回る音。
玄関扉が少し開いて、Aの顔が覗く。あの頃の面影を残しながら、でも、確実に痩せた君の顔。

そんなAの顔を見ると何も言えなくて。静寂が包む。

「とりあえず、上がってもらってもいいかな」

S「あ、そうやんな。ごめんなぁ、ぼーとしてもて。」

あの時と同じ、少しはにかみながら眉を下げるAの一声で我にかえり、君の後に続いて家に入った。