無色の枷 (ページ3)

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──────……

女は一人帰路を歩きながら考えていた。
─── もっとお兄さん自身が幸せになれることしようよ！

「……幸せ…か。そんなもの知りもしないくせに適当なこと言っちゃったな……」

男に告げた言葉に関して、どれも大した意味なんて込もっていなかった。
目の前で今まさに放火事件が起きようとしていて、女も冷静ではいられなかったのだ。
彼女は頭に浮かんだ言葉からそれっぽいものを並べて説得するのに精一杯だった。

「…ま、いいか。事件を一つ未然に防ぐことができて大手柄でしょう！……あ、てか」

女は鞄を開き中を覗き見る。

「これどう分解するんだろ……。そのまま捨てるのは絶対ダメだろうし。……まあ調べりゃ何かしら出て…」

「…僕に任せて」

「え？…ﾝぐッ！！？」

突然、彼女の背後に何者かが現れた。
男の声をしたその人は、彼女の口元にハンカチを押し当てる。

「んん…ｯ！！……ん………………んぅ…」

薬だろうか……何が起きたか理解する間もないまま、女は意識を手放していく。
だらりと力の抜けた女を抱きしめるように支えながら、男はニタリと笑った。

「…ハァ…………フフ……いい匂い…………やっと手に入れた…僕の幸せ………………」