xv ページ15
──────……
Aは思ってもいない謎対応に、思わず影汰を凝視する。
「わ、私が…買い物していいの?」
「うん。だって君にしかわからないでしょ?…普段使ってるシャンプーや服の洗剤。あとメイク道具、化粧水とか……アクセサリーや服も……」
「ちょ、ちょっと待って!メイクとか服もいいの!?金額凄いことになるよ!?」
「全部いいよォ……貯金はあるし。普段の君を作り上げるものならなんだって買っていい…」
何で?…と聞く前に、影汰は自ら口を開く。
「僕は…君が好きなんだ。…君の全てが好き。匂いも、メイクも、服も……君が考えて作り上げたものでしょ?それを僕が指定してしまったら君じゃなくなってしまう…」
「……」
「檻の中にいても……君には君らしくいてほしいんだ」
Aは自分勝手だ…なんて思いながらも口を紡ぐ。
どんな理由であれ自分の好きな物を買えるのだから、ここは黙って買わせてもらうに越したことはないだろう。
だが歪んでいるとはいえ、自分の全てを肯定して好きだと言ってくれるのは、少し嬉しさを感じてしまう。
今まで自分の全てを好きだと言ってくれる人なんて……誰もいなかったのだから。
Aはその感情を決して表に出すことはせず、黙々と商品検索を始める。
「…あ、ちなみに僕…ずっとここで見てるから、それで誰かに助け求められるなんて思わない方が……」
「そんなこと思ってないよ。…それより、同じ商品探すのが難しいやつは、私が買いたいと思ってた服とかメイク買ってもいいの?」
「え……あ、それは全然…いいけど」
「よかった。…じゃあ、この服と……あ、そういえば気になってる新作のシャドウもあったんだよね……」
「シャドウって……アイシャドウ?」
「そうー…ここのブランドのシャドウが好きでさー」
「さっきのページの商品と似てるけど…何が違うの?」
「全然違うよ!こっちのブランドのが塗った時の発色が断然良いし!…あ、でもラメ感が強く出るのはこっちのシャドウ。ただ私はラメは後付けで、目立たせたい部分にだけ塗るのが好きっていうか…」
「…フフ」
「!…な、なに」
影汰は嬉しそうにAを見つめる。
「…メイク、好きなんだね。楽しそう」
「なっ…え、えっと……」
「…もっと教えて。Aの好きな物知るの、僕も楽しい…」
「……」
Aは調子狂う…と影汰から目を逸らした。
29人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さく - すごい面白いです!!!! 更新頑張ってくださいね、ずっと待っていますから (2022年1月19日 18時) (レス) @page23 id: dc6ef9e765 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2021年11月24日 17時