6話 ページ7
「うっうっ……いだい」
人魚の時はなかった足は傷だらけ。
昔馬鹿みたいに全力疾走した時に
下半身(魚のとこ)ボロボロにしたことがあるけれど、
今魔法薬が切れたらあんな感じなんだろうか。
それはいやだぁ……
あの時は
自分の下半身の傷の酷さに吐きそうだった。
なんか鱗ハゲてると気持ち悪いよね。
それに海水が染みるし。
速攻でお母さんに治してもらったよ……
「おっけぇ〜」
「え」
間延びした、
慣れたくはなかったけど聞きなれた声が聞こえた。
間髪入れずに私の部屋の扉が吹き飛ぶ。
「っぎゃぁぁあ！！！」
玄関のすぐ横、
少し中に入る形で作られた
洗面所にいた私の眼前を、
重そうな扉が宙を舞っていく。
ちらりと除けば
その無駄に長い体の半分と少しを占めるであろう
足を高くあげたフロイド。
「さすがですね」
なんて微笑んでいるジェイド。
それから何故か
ハサミと小瓶を持ったアズールが立っていた。
「あれ、
カジキちゃん髪の毛紫になってんじゃん」
「驚かせてしまいましたか」
「突然の訪問失礼」
「驚かないわけあるか！！！死ぬわ！」
サラリと宣う3人に
思わず敬語も忘れて叫んだ。
だって見て、
私の部屋のなんかコロンとして丸い机(ちゃぶ台)
が半分に割れてるよ？
これは？殺処分依頼来た？？
「ふむ。
その驚くと髪の色が変わる体質
少し興味深いですね」
「フロイド、
そのままAさんを怒らせておいてください」
「えー怒らせる〜？
締めてもいーのー？？」
「構いませんよ、
本人が興奮してればいい訳ですから」
「私が構いますけど？！！」
目の前で繰り広げられる訳の分からない会話。
ねぇなんで私がさぁ！
こんなにもこいつらが嫌いかわかる？！
人の話聞かないからだよ！！！！
「はぁいカジキちゃんぎゅー」
「ぜったいやだ！！！」
ドン！
と向かってくるフロイドをつき飛ばそう、として。
「…カジキちゃんやる気あるぅ？」
がばっ！と思い切り抱きしめられた。
いやぁ待ってつま先が！
浮きそうでうかない辛い！！
しんどい！
「おっ！？とぉ……
暴れない暴れない〜」
「マジでやめろください！」
まるで稚魚のようにひょいひょいっと持ち上げられ、
フロイドの腕が首にかかる。
「締めてェ〜」
「落ち着こう？マジで落ち着こう？
普通に死ぬよ。死ぬからね？」
どこの海にカジキがウツボに締められる
なんて話があるというのか！！
お互い食う食われるの連鎖じゃないし！
てかカジキも捕食者だ！！！
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作者名：よく骨を折る田中 | 作成日時：2020年6月30日 22時
