【ツイステ】破天荒な人魚は自寮がお嫌い (ページ47)

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46話ページ47

「な、なんだったんすか、あれは……」

「………………」

しぱしぱ。
目をぱちくりとさせているレオナさん。
珍しいと思いながらも
自分もそれと大差ない顔をしているだろうな、
と思った。

「1組のお客様に何分かけるおつもりでしょう？」

「あ、ごめんなさい」

ジェイドくんはAにそう言って
とっとと別のテーブルに送り出してしまった。

「従業員に
ちょっかいを出すのはあまり感心しませんね。
いくらバイトしているラギーさんであろうとも。」

すぅ、と細められた瞳から
氷点下の視線が注がれた。

「当店
ワンドリンクオーダー制となっておりますので、
なにかご注文をお願い致します。
もちろん
お高いものを頼んでくださいますよね？」

にっこりと。
これでもかと言うほど
口は弧を描いているのに、
一切緩まない厳しい視線。

何が起きているんだ。
どうしたらいいんだ。

普段の彼らなら決して見せない姿に、
オレは慌てて高いドリンクを指さした。

「こ、これ2つ！」

「かしこまりました」

にやぁ、と
ギザギザの歯を見せてジェイドくんが笑った。

……オクタヴィネルは
頭脳派の集まりのはずっすよね……？

どうしてこう、ヤクザのような……

向けられる視線の意味がわからず、
オレは荒ぶる感情を必死で押し隠していた。

「……あいつは、珍獣なのか？もしかして」

オクタヴィネルの過保護っぷりに、
レオナさんが口を開く。

「……どうなんすかね。
でもそんな貴重な生物が、
わざわざ魔法学校に来るっすかねぇ？」

海でぬくぬくしてるんじゃないすか？
と言ってから、
海の中でぬくぬくってなんだろう。
と自分で自分に突っ込む。

でも、本当に貴重な生物なら、
誰も簡単に陸になどあげないだろうし、
まずあんなずでずて転んで許されるはずがない。

「宝を守る並の牽制だったぞ、今のは」

「そうっすねぇ」

オレたち獣人も、
威嚇やマーキング
という行為を行うこともある……が。

さすがに一介の友人相手にそこまではしない。
それが番であれば話も別だが、
ここは男子校。
当然Aも男である。
匂いもそう言っている。

「ま、普通に
手が足りなかったんじゃないすかね？」

考えるのが面倒くさくなって、
オレは思考を放棄した。