【ツイステ】破天荒な人魚は自寮がお嫌い (ページ34)

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33話ページ34

じゃあちょっと！ちょっとだけ！！

なんて言って
半ば無理やり髪の毛触る権利を手に入れた私。

「何が楽しいんだ……」

なんて言いながら
案外進んで頭をこちらに向けてくれる。

「レオナさんは髪の毛梳かれるのなんて
慣れてるんじゃないんスか？」

「？そうなんですか？？」

「レオナさん王子様っスから」

「っえぇ？！」

初耳である。
王子様？
このライオンの、ふわふわの、
口は悪いが根は優しい人が？

「私不敬罪で殺されませんか？」

「やるならとっくにやってる」

「ひえぇ……
ま、今までのでOKなら大概OKか」

「Aは結構図太いっスよね」

それにしても王子様か。
あぁ確かに苗字キングって入ってるし。
……なんかみんな名前単純って言うか……
わかりやすいね？！
苗字好きなの？？？

「そーですかぁ、王子様ですか。
……ラギー先輩はじゃあそれ関連なんですか？」

ぴく、とレオナ先輩の耳が動いたのが見えた。

と、同時にしっぽが地面にたたきつけられる。
痛くないのか。

……つーかこの人たちって
ほんとに感情が体に出るなぁ。

なんて思いつつ
王子の話には触れるまい
とラギー先輩の方に話を移した。

「いや、ただただお給金がいいんで」

「なるほどそれは重要ですね」

「いやぁ世の中弱肉強食っスからね。
食える時に食わないと」

「いやぁそれは最もですね。
俺も海にいた頃は職力は自給自足？
ってか毎日なにか
食いに行かないと行けませんでしたし」

「受け身じゃ
なかなか上手くいかないっすよねぇ～」

親いなかったしな！！
なんてのは寂しい自慢みたいでウザイのでやめた。

それにおふたりの事情も知らず、
勝手に自分可哀想アピールなんて
恥知らずにも程がある。

あなたより辛い人がいるのよ
なんてよく言うセリフだが
それはそうだけど自分だって辛いよ
なんてのは自分と
限りある信頼できる人に言うことで。
事実己より辛い人はいるのだから。

「さて。
いきますよレオナ先輩」

「1回だからな」

「えぇ…
ラギー先輩、マドル払うんでそこをなんとか」

「それはいい案っすね」

「ラギーてめぇ……！
というかお前は少し金を大事にしろ！」

ぴし、としっぽで手を叩かれた。

「……はぁい。
じゃあ今日は1回で我慢します。」

「明日はないからな？」

振り返ってギロりと睨まれたので
肩を竦めてとぼけておく。

なんたってこの3人の空気が気に入ってしまって
ついつい会いたいなんて思ってしまうくらいには
この人たちが好きなのだ。