30話 ページ31
「それではAさん、
放課後ラウンジでお待ちしております」
「時間厳守だかんね〜」
何が良かったのかはたまた諦めたのか、
彼の心境は細かく読めないが
2人はそう言ってすぐ去っていった。
「お騒がせしました」
「「「「いえいえ……？」」」」
「俺たち4人……もうひとりいるんだけど、
揃って同じとこ出身なんだ。
取っ付き難いけど悪いやつじゃないから……
びびったよね、ごめん」
何を隠そう私もびびったのである。
まぁでもタイミングは神だった。
いやぁ上手い具合に話が流れてよかったよ〜。
「放課後って？」
「そういえばAはいつもすぐ出ていくな」
キョトンとしたかおのユウくんに、
あぁ、と私は口を開く。
「今まではちょっと、
例の用がある人と色々してたんだけど……
今日からはウチの寮のカフェでバイトするんだ」
「寮って……オクタヴィネル……
ってことは、カフェ、モストロ･ラウンジ？！」
エースくんが目を丸くして驚いた。
「？有名なの？」
「去年新設オープンした、
と少し話題になったんだ……知らなかったのか？」
「うん……そーだったんだ」
まぁ海の中まで情報は回ってこないってね。
「カフェ、ってことは、
何か美味いものが食えるのか？！」
「そうだね……Aくん、そうなの？」
毛玉くんが目をキラッキラさせて叫んだ。
この子はほんとに食い意地が張ってるなぁ。
「いやごめん、知らないんだよね……
俺はホールで給仕だし、
暇があったら来てみてよ。
……まぁさっきの2人もいるけど」
「あはは……」
相当インパクトが強かったのか、
微妙な顔を向けてくる4人。
……まぁ待とう空気が独特だからなぁ。
それを言えばレオナさんもだけど……って！
やばいラギー先輩全然探してなかった！
またいるかな？！
慌てて私が辺りに視線を向けると、
タイミングよくラギー先輩の声が耳に届いた。
「ちょっと！通してくださいっス！」
「！
ごめん、用がある人、来てるみたいなんだ。
誘ってくれてありがとう、
また一緒に食べてくれる？」
お盆を持ち上げながらそういうと、
もちろんと笑ってくれる4人。
ありがたい。
「じゃあ、また昼の授業で！」
トレイを片付けながら耳を探す。
視界の端に、
ふわ、とした毛が映りこんだ。
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「あーびびったぁ」
「何やら凄い牽制だったな」
「……どういう関係なんだろう？」
「アイツ顔広すぎなんだゾ」
「やっぱ謎だなぁ、A」
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作者名：よく骨を折る田中 | 作成日時：2020年6月30日 22時
