27話 ページ28
「3年棟は……と」
休み時間。
おーい!
と誘ってくれたエースくんにごめんと謝って、
わざわざ慣れないこの棟に来たのにはわけがある。
昨日見たライオンの絵、
あんなに顔の周りがもふもふだったなんて……!!
ライオンという生物を知っていたら、
まず触るべきは、
ラギー先輩のしっぽではなく、
レオナ先輩の髪の毛だったのではないだろうか。
「あれはきっともふもふだよなぅべ?!」
「うわ!
っと、悪い……」
ブツブツ考え込んでいると
曲がり角で誰かにぶつかった。
「あ、すみません!」
反射的にそう謝って顔を上げると、
眼鏡をかけた男の人。
まぁ3年棟にいるのだからおそらく先輩……
なのだが、
頬に見知ったようなクローバーがついている。
「トレイくん、大丈夫??」
続いてぴょこ、と顔を出したのは
フロイドとは違う感じで明るめの声音の人。
今度はダイヤモンドだ。
…………そのマーク、
地上ではやってんのかなぁ。
「あぁ、俺は問題ない。
悪いな、ちゃんと前を見てなかった、
怪我ないか?」
す、と顔が降りてきて、
覗き込むようにして尋ねられる。
「あ、こちらこそ!すみません、
今のは完全に私の不注意で……」
圧倒的に私が悪い状況で、
しかも先輩に
先に頭を下げられたとあってはたまらない。
慌てて90度に腰を折る。
「あれ?中庭でよく転んでた子じゃん!」
「…………………………ハイ」
見られてたのか。
てか覚え方酷くないですか??
てかそうやって言わなくても良くないですか?
どこかで見た気がする!とか
曖昧にぼかしてもらってもいいですか?
脳内で目まぐるしく批判の声が殺到したが、
相手は先輩。初対面。
何も言うなかれと私は口を噤む。
「転んでた?」
「レオナくんと2年のラギーくんと、
放課後中庭で何かしてたよね??」
「はぁ、まぁ、少し……走る練習を……」
「「走る練習?!」」
驚愕の面持ちで私を見つめるふたりに、
もうどうでも良くなって経緯を話したのだった。
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「海じゃ最速の子が陸じゃ走れないのかぁ〜」
「運命のイタズラだな」
「お二人共ちょっと笑ってません??」
眼鏡の先輩はトレイ・クローバー。
ダイヤモンド先輩は
なんとケイト・ダイヤモンドだった。
……そのままだなオイ。
「で、Aちゃんは、
なんでここにいるの??」
「そうだな、もう次の授業が始まるぞ」
「え゛っ」
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作者名:よく骨を折る田中 | 作成日時:2020年6月30日 22時